「男性にチヤホヤされなくなった」悩む40代女性に現れた症状「男性と一緒だと…」の根本原因写真はイメージです Photo:PIXTA

独身を通してきた人をはじめ、配偶者と死別・離別した人など、世の中にはさまざまな事情で「おひとりさま」として暮らす人がいます。しかし一口におひとりさまと言っても、年齢を重ねた後も幸せに生きていける人と、不安やストレスにさいなまれながら生きていく人に分かれるのが現実です。両者を分ける「壁」の正体は何なのでしょうか。生前整理・遺品整理のプロ、山村秀炯(やまむら・しゅうけい)氏の書籍『老後ひとり暮らしの壁』から抜粋して、その答えをお届けします。今回のテーマは「理想と現実のギャップ」について。

自分を見失うと心がもろくなる

 田中さん(仮名)は非常に外見の整った美しい女性で、航空会社で接客の仕事をしていました。20代、30代は仕事もプライベートも充実して、とても楽しく人生を謳歌していました。

 しかし、40代になってしばらくすると、異性といるとご飯が喉を通らなくなるという症状で、精神科医・江越正敏先生のクリニックを受診してきました。

 プライベートでは異性に人気があり、職場でも評価されて昇進しているのですが、なぜかメンタルを病んでしまったのです。

 田中さんは、結局、足かけ3年くらいかけて治療して回復していったのですが、根底にあったのはアイデンティティの揺らぎからくるうつでした。

 田中さんは、若いときは「男性からチヤホヤされる女性」という役周りを求められて、自分でもそれを楽しんでいました。ところが40代になって、そのような役回りがだんだんと求められなくなり、そのことにストレスを感じるようになったのです。

 断っておきますが、田中さんは「嫌な人」ではありません。ただ若い頃に求められた役回りが自分に合いすぎていて、田中さん自身の仕事のストレス解消にもなっていたために、自分の失策ではなく加齢という予期しないかたちでそれが奪われてしまったときに、自分を見失ってしまったのです。