「1週間、何もできずにムダにした人」が今すぐ取るべきネクスト・アクションとは?写真はイメージです Photo:PIXTA

反対意見が出てきた、思考が飽和してきた……物事に行き詰まってしまったとき、進めているプロジェクトや事業が止まってしまわないように行うのが「対処相談」だ。人に相談することで、解像度が上がったり、押さえるべき問題点が浮かび上がったりしてくる。少しでも困ったら、すぐに相談アポを入れる癖を身に付けることでビジネススキルが向上するのだ。本稿は、山中哲男『相談する力 一人の限界を超えるビジネススキル』(海士の風)の一部を抜粋・編集したものです。

違う意見が出たときが
「対処相談」のタイミング

 行き詰まって物事が前へ進まなくなってしまったときには、「対処相談」を行いましょう。

 仮説や計画を練り上げていく過程で、それまで磨いてきたものと異なる意見が出ると、議論が紛糾し、プロジェクトや事業は止まってしまいがちです。ですので、異なる意見が出てきたら、対処のためにすぐに相談をしましょう。

 これからお伝えするのは、実際に私が兵庫県の淡路島で、街開発の一環でホテル事業に関わったときのこと。まさに自分とは違う意見が出たときに相談することで、物事を前へ進められた事例です。

 当時、資金を集めるため、金融機関に提出する事業計画を策定していた際、ホテルの平均稼働率の最悪のパターンをどの程度の水準に設定するかという議論になりました。補足しておくと、事業計画をつくるときにはいくつかのパターンで収益予測を立てます。多くはABCの3つのパターンを設定しますが、Cは最悪のパターンを想定します。その数字で計画をつくれば、それを下回ることはないであろうという水準です。

 淡路島で何人かに相談したところ、さまざまな意見をいただき、平均稼働率は50%で計算することにしました。

 最悪の水準にしては高いと感じましたが、何人もの人にそう言われたので、それを採用したところ、無事に金融機関から事業計画を承認されました。そのときの成功経験から、私はホテルの事業計画をつくるときの収益予測は、Cパターンを50%に設定すれば金融機関は承認してくれる、と勝手に思い込んでしまったのです。

 ところ変わって、山形でもホテル事業に関わりました。そのとき、同じように最低平均稼働率をどの程度に設定すればいいかという質問が出ました。私は淡路島での経験から、さも当然のようにこう言い放ちました。

「50%に設定すればいいと思いますよ」

 参加者の顔を見渡すと、みなさん怪訝な顔をしています。

「ええっ。50%なんか高すぎますよ。そんなに高い稼働率で最悪の基準を設定したらまずいんじゃないですか」

 全員が私の50%とは異なるパーセンテージの基準を出してきました。私は慌てて付け足しました。

「淡路島では、その数字で設定しましたよ」