些細なことでイライラしたり、空気が読めずにトンデモ発言をしたり、武勇伝を何度も繰り返したり。そうした言動で周囲に迷惑を掛ける中高年層は、たとえ過去に仕事で成功していても、若者たちから「老害」だと認定されてしまいます。ですが、もちろん本人たちは悪気があって老害っぽい言動をしているわけではありません。では、なぜ「やらかす」のでしょうか。医学博士・平松類氏の著書『「老害の人」にならないコツ』(アスコム)から抜粋して、その答えをお届けします。今回のテーマは「セクハラ」について。
距離感にズレがありセクハラの概念を持たない「老害」
「バイト先のコンビニオーナーのMさんが最悪なんだよね」
これは、医師仲間のひとりから聞いた、娘さんのバイト先での出来事に関する話です。先のセリフはその娘さんのもので、店を取り仕切るオーナーMさんに怒り心頭のご様子とのこと。
Mさんの年齢は推定70代前半。店内にお客さんがいなくなると、くだらないオヤジギャグと、娘さんのわからない古い話を連発してくるそうです。
そして娘さんが苦笑いをすると、うれしそうな顔をして「まぁ、しゃーねーよ。俺は昭和の男だもん」をくり返すといいます。
セクハラ発言や、それに近い行為も日常茶飯事。
「彼氏できたんだろ?」
「やることはやったのか?」
「今度、写真見せてくれよ」
そう言って、いつもニヤついているそうなのです。
「発言の中身も最低だけど、何より嫌なのは距離感の近さなんだよね。声の大きい人だから、離れていても言葉は聞こえてくるのに、会話をするときは必要以上にこっちに近寄ってくるのよ」
娘さんの怒りはまったく収まりません。
露骨に嫌な顔をするわけにもいきませんから、当然ストレスは溜まりまくりますよね。辞めればいい、という話かもしれませんが、ほかのバイト仲間はいい人たちばかりで、なおかつ仕事内容のわりに時給がいいということもあり、なかなか踏んぎりがつかないとのこと。
「もちろん、そのコンビニで働いているスタッフは、全員同じ気持ち」ということでした。