メタ社の主張は
「場所を貸しているだけ」

 前澤さんのケースは、FBに「前澤友作が無料投資教室を開きました」という偽広告を掲載。クリックするとLINEの友達登録に誘導され、暗号資産の取引や投資名目で銀行振り込みさせる手口だった。

 問題視した前澤さんがFBを運営する米ITメタ社に「氏名、肖像を無断使用した広告掲載を許可している」などとして、1円の損害賠償と掲載差し止めを求め東京地裁に提訴。7月9日の第1回口頭弁論で、メタ社は請求棄却を求め全面的に争う構えだ。

 筆者の後輩である全国紙社会部デスクによると、メタ社は「場所を貸しているだけ」との主張で、管理監督義務はないとの認識のようだという。

 池上さんのケースでは4月、東京都板橋区の中国籍の会社役員(当時41)が広島県警に詐欺容疑で逮捕された。逮捕容疑は2~3月にかけて、広島県の男性(当時72)に「優良株を購入する特権がある」などとうその投資話を持ちかけ、現金710万円をだまし取ったとされる。男性は追加で200万円を振り込み、その後に不審に思い警察に相談、被害が発覚した。

 こうした事態を重く見た池上さんは、出身地である長野県警の要請を受け、注意を呼びかける動画の作成に協力。愛知県警の求めにも応じ「私は投資の商品の宣伝なんかしません」などと怒りをにじませて画面に登場した。池上さん側もSNS側に広告削除を要請したが、応じてもらえないという。

3人の著名人に
なりすましたケースも

 堀江さんを巡っては「ホリエモンが優良株を教える」とかたるFBの広告から誘導された60代男性が、福岡市の広告業者が詐欺の首謀者に送金用口座を提供して加担したとして、約1000万円の損害賠償を求め東京地裁に提訴。

 地裁は6月、業者側が答弁書を提出せず口頭弁論にも出廷しなかったため「氏名不詳者と共謀し、原告から金銭をだまし取ったと言える」と男性の主張を全面的に認める判決を言い渡していた。

 堀江さんのXには4月5日付けで「私の名前を騙(かた)る投資詐欺に引っかかったり、引っかかった人、リプ欄に詳細とか詐欺の手口とか投稿してください。最近はディープフェイクモノも増えてると聞きます。来週自民党のデジタルプラットフォーム規制の委員会で話をする機会を頂きましたので、そこで一気に日本政府に動いてもらおうと思ってます」(原文ママ)と、(なりすましでなければ)現状を懸念する投稿が見られる。

 複数の著名人になりすますケースもあるようだ。東京都墨田区の中国籍の会社役員(34)は、(1)5月に池上さんを装い福島県の70代女性から原油への投資名目で約1000万円、(2)6月に森永さんを装い香川県の70代女性から銀への投資名目で1000万円、(3)7月に堀江さんを装い金や銀への投資名目で福井県の70代男性から1500万円をだまし取ったとして、詐欺容疑で3回逮捕された。

 会社役員は「金は受け取ったが、だましてはいない」と供述し、容疑を否認。いずれの事件も首謀者は別にいて、現金の受け取り役に過ぎないのは間違いない。逮捕された事件はもちろん、被害のごく一部でしかないだろう。