以前のアニメでは原作の最後まで描かれていないか、あるいはアニメになるにあたって原作とやや違う要素が盛り込まれたアニメが票を集めたようである。

 特に条件を設けず再アニメ化を望まれている作品として比較的よくその名が聞かれるのは、他に『ときめきトゥナイト』『マギ』『うしおととら』などである(筆者調べ、順不同)。

 また、特に『めぞん一刻』は再アニメ化の呼び声が高い。原作者の高橋留美子先生の代表作『うる星やつら』は2022~2024年で2クールの再アニメ化が行われ、さらに『らんま1/2』の完全新作アニメが制作中と来ているから、ならばもうひとつの代表作である『めぞん一刻』もと、予想と期待が寄せられている格好である。

 同作は連載当時(1980~1987年)のバブル突入前の世相が作中によく反映されていたから、これをもし現代でやるとなったらどうアレンジされるのかというところは気になるが、コメディパートの楽しさや恋愛パートの素晴らしさは現代でも色褪せない貫禄があり、「再アニメ化希望」としてその名が挙がっているのを聞くと、たしかにそれを見てみたい気にさせられるのであった。

嬉しいけどキャストは据え置きで……
再アニメ化におけるファンの葛藤

 しかし、ファンは再アニメ化を望むばかりではない。すでに放送されたアニメを大切に思うがゆえに再アニメ化を拒否するファンも当然いるわけで、または「再アニメ化はしてほしいけれどキャスト(声優)は据え置きで」といったファンの願望も非常によく聞かれる。

 その再アニメ化が成功したか否かの判断は人それぞれで変わってくるが、筆者が個人的に成功したと思っているのは『SLAM DUNK』と『らんま1/2』である。ともにアニメ版も凄まじい人気を誇った作品で、それぞれ再アニメ化に際して異なった成功の仕方を示している。

 『SLAM DUNK』は、再アニメ化版に当たる劇場版『THE FIRST SLAMDUNK』が、公開前から炎上した。前売り券発売後に「前アニメ版から声優を一新する」と発表するなど、「これは炎上しても仕方ないかも」と思える運営の至らなさは確かにあったが、それにしても半端でない燃えっぷりを呈していたのは、新作に対する尋常でない期待値の高さと抵抗の強さがあったからに他ならない。