名作マンガ・アニメのリメイクブームに喜び悲しむ「往年のファン心理」が複雑すぎる人気作品の再アニメ化に複雑な感情を抱くファンは多い(写真はイメージです) Photo:PIXTA

日本の大人はマンガとアニメが大好きであること、これはもう否定できない事実である。だからこそ、名作マンガの実写化や再アニメ化がしきりと話題になる。オタクを自認しない人であっても、子どもの頃に親しんだマンガのリメイクとなれば、心が踊るものである。名作マンガ・アニメのリメイクブームが訪れている昨今、往年のファンたちの複雑な心理を読み解く。(フリーライター 武藤弘樹)

『タッチ』から『NANA』まで
メジャー化したアニメの実写映画

 21世紀は往年の名作マンガのリメイクがブームになっている。漫画原作の実写映画化がいつの頃からか盛んになってきたのだが、これはどうやら2005年頃からの動きだったようである。

 ウィキペディアに(国内の)「アニメ・漫画の実写映画化作品一覧」というページがある。サイトの性質上100%の信を置くのは危険だが、ここではあくまで「実写化作品がどれだけ増えてきたか」を参考に探る目安として利用したい。

 これによると、1980年以前は年間10本程度の作品が実写化されている。1980年代はこれが減って年間1~5本となり、1985年から少しずつ増え始め、1995年に年間20本の大台に乗る(24本)。そのラインナップを見てみると、『ミナミの帝王』や『サンクチュアリ』『哭きの竜』など、青年誌掲載の漫画の割合が多かったようである(※個人的に気になったのは、『ねじ式』で有名なつげ義春先生の作品が幾度も実写化されている点で、「監督:竹中直人」「主演:佐野史郎」「主演:浅野忠信」とあればますます気にならざるを得ない)。