4月の韓国総選挙で与党「国民の力」が大敗してから3カ月。野党の次期トップが誰になるかに注目が集まっている。最大野党「共に民主党」と、新党の「祖国革新党」が党代表選を実施しており、次期野党党首は次期韓国大統領になる可能性もあるためだ。しかし党内の足並みはバラバラ、大物政治家たちはスキャンダルにまみれている。(韓国在住ライター 田中美蘭)
韓国最大野党の「お騒がせ」党首、続投を目指す
韓国最大野党「共に民主党」の党代表選挙に注目が集まっている。現党首の李在明(イ・ジェミョン)氏が出馬したのだ。党員を対象に、7月20~21日に行われた地方予備選挙では90%以上の支持を獲得し、2位の候補に大きな差をつけた。次期党代表は、8月18日に行われる全党大会で決定する。
李氏といえば、昨年は日本が福島原発の処理水を海に放出することに反対してハンガーストライキを行ったり、今年は新年早々不審な男に刃物で襲われたりと、過激な言動や多くの疑惑で物議を醸す「お騒がせ」な人物として知られている。
4月の国会議員総選挙で「共に民主党」は与党「国民の力」に大差をつけ、尹錫悦政権に大きなダメージを与えた。しかし、どことなく党内はギクシャクし、足並みは乱れていた。李氏が党代表選に出馬することにより、党内がまとまるのか、あるいはさらに不協和音が強まるのだろうか?
大統領選挙への再挑戦も視野に
李氏が次期党代表を目指す背景には、次期大統領選挙のリベンジが悲願としてあることは間違いないだろう。しかし、李氏には土地投機や北朝鮮への不正送金など、多くのスキャンダルがつきまとっている。また、「不適切」な言動の多さから、世論はもちろん、党内からも批判や資質を疑問視する声が上がっており、政治家としての資質には大きな疑問符がつく。
それでも李氏が長く党首の座に就き、次期党首への意欲を見せる背景には、党内に、李氏に代わる有力候補がいないという現状がある。今回の党代表選には李氏の他に国会議員2名の候補がいるが、党内の発言力や存在感などインパクトが弱いことは否めず、予備選挙でも大きく水をあけられている。