究極の選択を迫られる韓国の有権者たち

 有望な人物が現れても何らかの疑惑やスキャンダルが発覚し、党内では対立や分裂が繰り返される……これが韓国政界の現状だ。保守だろうと革新だろうと、国民ではなく自分の立場ばかり考えている政治家が多いということだろう。

 最近の選挙の傾向を見ると、有権者は理想の候補者を選び、期待を託すというよりは、仕方なく誰かを選ばなくてはいけないので消去法で選択せざるを得ない、といった状況だ。まあこれは韓国に限らず、日本の東京都知事選挙や米国の大統領選挙でも同じなのかもしれないが。

 有権者は「変わること」を期待しているが、現実はそう簡単には変わらないということであろう。

政権与党の課題と今後の展望

 一方、与党「国民の力」側の状況も決して楽観視できるものではない。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の支持率は依然として低迷しており、政権運営に苦慮している。4月の総選挙直後よりは少し持ち直してきているものの、残りの任期をどう乗り切り、次期大統領選挙で政権を維持できるか、正念場となっている。

 保守か革新かという二元論的な見方では、韓国の複雑な政治状況を理解するには不十分だ。常に政争の具を見つけ、国民感情を煽ることに長けた革新派が政権を取る事態も不安が大きい。そして韓国に住む日本人の立場からすれば、文前政権時代へ逆戻りし「NO JAPAN」が再来する事態だけは避けたいと思うのである。