朴監督はカズを特別扱いせず
全選手を公平に評価する
そんな朴監督は、一人の選手としてのカズをこう語っている。
「カズさんが絶対に手を抜かず、日々の練習から常に全力でプレーするのは、選手として一緒だった私自身がもっともよくわかっています。鈴鹿の選手たちは必ずカズさんの姿勢を間近で見るし、その意味では私がチームをマネジメントする上で、すごく助けてくれる存在もあります」
「(中略)カズさんが得点に絡むことでチームも生きるし、勝つと考えているので、基本的には最前線のポジション(FW)を最優先に起用していきたい」
もちろんFWのポジションを空けて、無条件でカズを迎え入れるわけではない。朴監督は「チーム内の競争」を合言葉に、公平公正な目でチームを見ていくと意気込んでいる。そして、カズもそのなかでレギュラー争いに臨むつもりだ。
「もちろん僕は選手なので、監督の決定や決断というものが(優先順位として)一番高いところにあるのもわかっています。そこを尊重しつつも、監督も言っているようにチームの勝利が何よりも優先なので、自分がどのように協力していけるかを常に考えていきたい」
鈴鹿での挑戦へ向けた心境をこう語っていたカズは14日、ホームスタジアムで行われた、ヴェルスパ大分戦の後半17分から途中出場。自身が持つJFL最年長出場記録を57歳139日に更新したものの、カズ自身はシュートを1本も放てないまま、チームも0-1で敗れている。
また、カズは21日のレイラック滋賀戦でも後半16分から途中出場し、JFL最年長出場記録を57歳146日に更新したものの、期待されているゴールは決められなかった。この試合をもって、JFLは8月末まで夏季中断期間に入る。
鈴鹿との契約は2025年1月末まで。しかし先述の斉藤オーナーは、近年は不祥事が相次いだ鈴鹿をピッチ内外で根本的に立て直し、J3リーグ昇格を狙う体勢を整えていくうえで、カズを戦力的・精神的に欠かせない存在だと位置付けている。
その観点から、カズの保有権を持つ横浜FCに、期限付き移籍の延長を申し込む方向ですでに検討をはじめている。
キングカズは情熱が燃えさかる限り、そしてチームに求められる限りは現役を続ける。かつて共に戦った「2人のキーパーソン」からのサポートは受けるものの、忖度や特別扱いは望まない。日々の練習から全身全霊を誓う。年齢を重ねてもカズは、一途で純粋な生き様を貫いている。