「ブンデスリーガの代わりに刑務所?」サッカー佐野海舟容疑者、ドイツでの報道ぶりとは?Photo:Koji Watanabe/gettyimages

サッカー・森保ジャパンに名を連ね、名門・鹿島アントラーズからドイツ・ブンデスリーガ1部のマインツへの移籍が決まったばかりの佐野海舟選手が、女性への不同意性交容疑で逮捕された。この一件は、日本とドイツに大きな衝撃を与えた。日本はもちろんのこと、マインツは地元メディアも含めて大混乱に陥っている。佐野選手は一時、警察の取り調べに対して容疑を認めているとも報じられたが、逮捕報道の翌日に当たる7月18日以降は情報が途絶えている。将来を嘱望された23歳の今後はどうなるのか。(ノンフィクションライター 藤江直人)

新たな門出になるはずだった日
佐野海舟「容疑者」は日本にいた

 新たな門出になるはずだった日、練習場に「期待の新星」の姿はなかった。新天地マインツへの合流が予定されていた7月21日、佐野海舟選手はドイツではなく日本にいた。女性への不同意性交容疑で逮捕され、「容疑者」となったためだ。

 チームに合流できない事態を見越していたドイツの大手大衆紙『ビルト』は20日、下記のようなセンセーショナルな見出しで、佐野容疑者の現状を報じている。

《性的暴行を供述したとされるマインツの新戦力、懲役6年の刑に直面》
《ブンデスリーガの代わりに刑務所?》(原文を翻訳、以下同じ)

 記事本文は、次のような内容だった。

《マインツの新戦力、佐野海舟にまつわるスキャンダルの波紋がさらに広がっている。佐野は元チームメイトの男性2人とともに、30代の女性に性的暴行を加えた容疑で14日に逮捕され、現在は警視庁本富士署に勾留されているとみられる》(※注:本富士署は東京都文京区の警察署)

《日本のテレビ朝日は、佐野は取り調べに対して容疑を認める供述をしていると報じた。日本の司法では加害者の数が多いほど、より厳しい処分が下される傾向が強いため、現状で佐野は4年、最悪の場合は6年の懲役刑が言い渡される可能性がある》

「ブンデスリーガの代わりに刑務所?」サッカー佐野海舟容疑者、ドイツでの報道ぶりとは?Photo:Koji Watanabe/gettyimages

 30代の女性への不同意性交容疑で、佐野選手が逮捕されていたという衝撃的なニュースは、日本でも17日朝から新聞やテレビなどで続々と報じられた。報道によれば、逮捕までの経緯は次のようになる。

 佐野容疑者は13日夜、20代の男性2人、被害者を含めた女性2人とともに東京・港区の六本木で飲食。その後、飲み直すためにパーティールームのある文京区湯島のホテルへ向かった。そして、もう一人の女性が帰った後、14日午前2時過ぎから同4時半ごろまでの間に、共謀して行為に及んだ疑いがある。

 被害者女性の通報を受けて駆けつけた警察官が、ホテル近くの路上にいた佐野容疑者、山本泰己容疑者、竹内迅人容疑者の身柄を確保。本富士署への任意同行を求めたうえで事情聴取を行い、同日夜に逮捕に至った。

 そしてテレビ朝日系の『報道ステーション』は17日夜の放送で、佐野容疑者が取り調べに対して「間違いありません」と容疑を認める供述をしていると報じた。他の2人に関しては、山本容疑者が「間違いありませんが、自分だけは同意があった」と供述し、竹内容疑者が否認しているとも伝えられた。ただ本稿執筆時点で、本富士署側は佐野容疑者らの認否を明らかにしていない。

 逮捕された3人は、岡山県津山市で生まれ育った同学年の幼なじみで、中学時代までは同市内のサッカークラブのチームメイトでもあった。途中で帰宅した女性は山本容疑者の知り合いで、13日夜に知人でもある被害者女性を初めて3人に合わせた。現時点でわかっているのはここまでだ。