あるいは、選挙っていうのは一番、人に迷惑をかけたものが当選するんだと。しかし、迷惑をかけたことを忘れて、その後、迷惑をかけた人に対して、報告・連絡・相談のあいさつを忘れたやつは次に必ず落選するぞとか。こういうのは今も派閥の意義として残っています。

初当選の国会議員が「なるほど」と思った“後の総理”のアドバイス「お金はできるだけ…」の真意とは?伊吹文明氏 Photo by Wataru Mukai

 報告・連絡・相談・確認っていうのは必ずやらなければいけない。これは政界に限らず、どの組織でも同じですよね。

――渡辺氏は、政界を腐敗させたのは財界の責任もあると指摘していますが、その点どう思われますか。

 そうは思いませんね。確かに当時、渡辺さんのときはそういうことがあったのかもわからないよ。

 だけど、少なくともいわゆる表の付き合いがきちっとできる政治家と経済界の人との関係は、今で言えば日本経団連の会長とか日本商工会議所の会頭などですが、政界を腐敗させるというようなことはないんじゃないかな。

 ただ、財界の主流じゃない人たちと、財界の主流となかなか付き合えない政治家との間では、やっぱり表に出ないようなお金のやり取りっていうのはあったんだと思いますね。