初当選の国会議員が「なるほど」と思った“後の総理”のアドバイス「お金はできるだけ…」の真意とは?Photo by Wataru Mukai

永田町のご意見番で歯に衣着せぬ物言いから「イブキング」の異名を持つ元衆議院議員の伊吹文明氏。財務大臣や文科大臣、自民党幹事長、衆院議長などを歴任し、志帥会(現二階派)会長として派閥を率いた。伊吹氏が紹介する戦後の政治家や企業人とのエピソードは、タイパやコスパに毒された現代人が「仕事への向き合い方」や「人間関係」を見直すきっかけとなるはずだ。(構成/ライター 田之上 信)

この連載は、派閥論の名著と名高い渡辺恒雄氏の『派閥と多党化時代』(雪華社)を復刊した『自民党と派閥』(実業之日本社)を事前に読んでもらったうえで取材をしています(一部を除く)。連載の新着記事を読み逃したくない方は、連載のフォローがおすすめです。メールで記事を受け取ることができます。

政策議論に上下関係はない
しかし、座布団の順番は決まっている

――渡辺氏は『自民党と派閥』で、派閥の存在意義として、ポスト、活動資金、選挙支援、総裁選の4つをあげています。今回、派閥が解消されましたが、どう見ていらっしゃいますか。

 今はもう小選挙区になって、政治資金規正法も厳しくなって、政党助成費もあるから、渡辺さんの言ってるポスト配分とか活動資金、選挙支援、総裁選ていう役割は極めて希薄ですよね。かすかにはいまも残っているでしょうけども、中選挙区のときとは大きく変わりました。

 派閥の存在意義として、1つはきれいごとを言えばね、政策の勉強、これは憲法改正の論点は何だとか。あるいは、現在の経済政策はどうだとか、財政を出動させるのがいいのかとか。後世に借金を残して次世代の納めた税金を国債の利払いに使ってしまうっていうのは、前の世代の意思決定として正しいのかとか。そういう勉強する場が派閥です。

――教育機能を果たしているということですね。

 もう一つは、当時もあったんだけど、派閥の機能として大切に残ってるのは、政界での生き方というのかな……立ち居振る舞い、礼儀作法、こういうものを教えるってことですね。

 僕は渡辺美智雄先生に言われたのは、政策は上下関係なく自由に発言してもよろしいと。しかし、宴会の場では座布団の順序は決まってるっていうことだけは忘れるなとかね。