そうすると例えば石田梅岩が、商いは公のためにさせていただいてるものであると、したがってそこで出た利益の3分の1は一緒に働いてくれている従業員に渡す。3分の1は自分の商売を支えてくれているお得意様、つまり今様にいえば仕入れ先に価格転嫁を認めて売値を少し上げる。3分の1は万一のために配当と内部留保として店に残しておくんだということを言っています。

初当選の国会議員が「なるほど」と思った“後の総理”のアドバイス「お金はできるだけ…」の真意とは?伊吹文明氏 Photo by Wataru Mukai

 僕が初当選したときに、最初に私の東京の後援会長になっていただいたのは、日清紡績(現・日清紡ホールディングス)会長の桜田武さんでした。当時は日経連の会長も務めておられた。そういう経営者が1年生議員の私の東京の財界の後援会長になってくれるんだから。

 桜田さんは大変な論客で、会長室でよく読書をされていましたよ。池田勇人先生の熱心な支持者で、憲法改正をやらないかんとか、政治がしっかりしないと日本はダメになるかとかおっしゃっていた。

 桜田さんとか戦後の経営者はそういう感覚を学んでおられたよね。戦後の経営者っていうのは戦前の経営者が戦争責任でみんな辞められたでしょ。そうすると40歳ぐらいでみんな代表取締役になるから、創業的気運が非常に強かったね。だから自分で物事を決めて、自分で責任をとる。

――いまの経営者はいかがですか。