要因3
最大のライバルの参入遅れ
さて、このようにビジネスモデルを確認すればするほど、ひとつの疑問がわきます。
「既存のバイト市場の競合大手はいったい何をしていたのだろう?」
という疑問です。
「いや、現在進行形でタイミーを潰すことができるあの会社はいったい何をしているのだろう?」
と思うのです。
このスキマバイトのビジネスはまだ発展途上です。タイミーの売上規模は先述したとおり160億円ですが、同社の予測によれば主要3業種だけで潜在市場規模は1.2兆円あります。そこでのタイミーのクライアント企業へのアクティブアカウントの浸透率はまだ3%です。
将来のこの市場での覇権という観点ではこのバイト案件数の確保が最大の優位性の鍵となりそうですが、実は、その点で最も先行しているのはインディードです。実際、私の自宅近所でインディードを使って「スキマバイト」と検索すると半径25km以内に1万3000件の求人が表示されます。
その中身を見ると、タイミー以上に私でもできそうな仕事がならびます。たとえば「キーワード入力スタッフ(これはたぶん得意)」や「リモート事務スタッフ(自宅で作業ができそう)」や「スーパー店内のカゴ移動(未経験だけどやれそう)」といった仕事です。明らかに選択肢としてはインディードの方が数が多いのです。
しかし、インディードでこういった仕事を応募しようとしたらまずは履歴書を書かなくてはいけません。さらにどのスキマバイトの求人にも「週2~3日OK」とは書かれていますが、日付や時間を指定するような本当のピンポイントでのスキマバイトの応募はインディードからはできません。
インディードを運営するリクルートは、この秋からこういったスキマバイトニーズに対応した新たなスポットワークサービスを始めると発表しています。『タウンワークスキマ(仮称)』として、日付や時間指定で短時間の仕事を探せるといいます。