要因2
ウーバーという先行モデルの存在

 ライドシェアのウーバーがサンフランシスコでサービスを開始したのは2011年でした。2014年には子会社の形でウーバーイーツが設立されます。日本ではライドシェアは参入制限をされていますが、ウーバーイーツはコロナ禍を通じて順調にビジネスを拡大しています。

 実はこのウーバーの成功は、ふたつの側面でタイミーのビジネスモデルに影響を与えています。

 ひとつは旧来のバイト市場に必要だった履歴書と面接と審査を、“ウーバー型の仕組み”でクリアできることが判明したことです。会社がバイトを雇う際には従来、履歴書と面接は必須でした。どんな人かわからないのに会社は仕事を任せることはできないものです。

 しかし、タイミーでは履歴書なし、面接なしで即日働くことができます。その背景にあるテクノロジーはウーバーと同じ発想で導入された相互評価の仕組みです。アメリカではライドシェアのウーバーを使うと、ドライバーもユーザーも双方で相手を評価します。その評価が積み重なることでその人の信用が可視化されます。

 これはもともとはヤフオク!などオークションからネット業界に普及した仕組みです。この相互評価はスキマバイトのような仕事においては履歴書や面接よりもずっと役にたちます。タイミーの場合はさらに評価不能となる直前キャンセルや無断欠勤についてはペナルティとして一定期間の利用停止を課すことで、無断欠勤率を0.2%まで引き下げています。

 求人元の企業についても、本来は審査が重要です。ブラック企業など募集ルールを破る形で労働搾取をする企業は求人誌に広告を載せることはできません。

 実はこれも、相互評価で代替可能です。タイミーには通報窓口があり、企業に対してもペナルティがあるので、運営すればするほどよい企業の求人と、評価のよいワーカーが残っていく仕組みになっているのです。

 ウーバーのもうひとつの影響は、主要3業種(物流、飲食、小売り)の一角である飲食業界において、店主がウーバーイーツの活用に慣れたことです。タイミーだと飲食店がウーバーイーツを使うのと同じ感覚で、スマホでスキマバイトの募集をかけることができます。

 目下のところ、タイミーに企業が支払う手数料は30%と、派遣会社を使う際の36%よりも割安で済んでいます。その前提で募集人数に対するタイミーの稼働人数は直近の実績で88%と、非常に高い水準で募集ニーズがマッチングされています。

 では、なぜタイミーではこのようにマッチング率が高いのでしょうか。そこで重要になるのが登録するワーカーにとっての応募しやすさです。