新卒の就職活動では、学生が優位な状況が続き、複数社の内定をもらう学生も少なくない昨今。最終的な進路の判断に悩む学生が増えています。就職・採用に関する調査、分析を行う、リクルート就職みらい研究所所長の栗田貴祥氏が、就活の最前線を語る連載の第13回。今回は、納得して就活を終えるためのヒントを考えていきます。(リクルート 就職みらい研究所 所長 栗田貴祥)
内定取得社数の平均は2.54社
「どう選ぶか」が課題に
企業の堅調な採用意欲により、学生が優位な状況が続いています。当研究所が発表している、各年度の12月1日時点の内定率調査によると、大学生の平均内定取得企業数は、21年卒は2.25社、22年卒は2.35社 、23年卒は2.45社、24年卒は2.46社と、年々増加傾向にあることがわかります。
同調査では、内定取得企業数についても聞いており、内定取得学生のうち、6社以上の企業に内定をもらっている学生の割合でも、21年卒は3.7%、22年卒は4.2% 、23年卒は5.8%となり、24年卒は5.3%と前年より少し下がりましたが、年々増加傾向です。
2023年卒の学生に、複数企業の内定を保有し続ける理由を聞いたところ、その一つに「内定先のどこに入社すべきか、自分自身が決断できない」(19.4%)があり、入社先をどう選ぶかについて、一定数の学生が悩んでいることが読み取れます。学生は、複数の内定企業の中から最終的にどこを選ぶかという、難しい判断を迫られているともいえるでしょう。
では、学生たちはどれくらいの納得感を持って、入社先を選んでいるのでしょうか。就職みらい研究所が実施してきた就職活動振り返り調査を、過去10年の経年変化の視点で見ていきましょう。
就職先が確定した学生に対して、「入社予定企業等が、就職活動開始当初にどれくらいの志望度だったのか」を聞いた調査では、「当初からの第一志望群」と回答した学生は14年卒で32.6%でした。その割合は年々増え、23年卒では61.5%に。第一志望群への入社を決めた学生が増加傾向にあることがわかります。