お盆休みは、仕事の仕方をじっくり振り返るのに最適なタイミング。普段は忙しすぎて目の前の仕事や目標以外のことはなかなか考えられないという人も、いちど立ち止まり、仕事のやり方を振り返ってみては。そのときに考えたいのが「仕事で関わる相手と信頼関係を築けているかどうか」です。上半期も残りわずかとなるこの時期に、見直してみてはいかがでしょうか。
そこで今回は、2024年6月に発売するとたちまち重版となり、「仕事の本質を学べた」「お客様とのエピソードの数々に5回は泣きました」と反響を呼んでいる記憶に残る人になるの著者・福島靖さんと、株式会社Omoitsukiの代表であり『大人の夢の叶え方』の著者でもある幸義一さんに、人から信頼を得るためのコツについて話していただきました。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)

一緒に仕事をするとすぐにバレる「自分を盛る人」がSNSで書きがちなこと・ワースト1Photo: Adobe Stock

SNSで「実績」だけ発信する人

福島 靖(以下、福島) 一瞬で信頼を失うということはよくあります。信頼を失おうと思ってやっている行為であれば直せますが、いちばんタチが悪いのが「無意識にやっている信頼を失う行動」です。これが結構あったりすると思うんです。

 たとえば幸さんは、そう感じたケースはあったりしましたか?

幸 義一(以下、幸) いくつかありますね。僕が専門にしているSNSの世界では裏付けがなくても何でも言えてしまうので、とくに気をつけないと一瞬で信頼を失ってしまいます。

「こういうお仕事を受注しました」
「何件の契約をいただきました」
「いくら売り上げました」

 そういうことばかり発信している一方で、誰にどんなサービスを提供して、お客様はどう変化したのかといったことが全く伝わってこない人もいます。

福島 実績だけアピールする人、たしかによく見かけます。でも結果を出したら、それを広く伝えたくなる気持ちはありますよね。

 はい、その気持ちはわかります。それに、たしかに実績のアピールをしていると目立ちはするので、「それなら、お願いしてみようか」と、依頼がくることもあるでしょう。
ですが実際にやりとりしてみたら「なんか思っていたのと違った」となることは結構あります。それでは信頼されるどころか、リピートはされず、お客様がどんどん離れていくばかりです。

いっときの仕事を追いかけていても信頼関係は増えませんし、結果的に自分の評判を落とすことにもなります。
なので、勢いだけをアピールしていくのは、まずやめたほうがいいことですね。

本当に優秀な人は、自分を盛らない

 そもそもSNSって、実績を投稿すると「すごいです!」と言われる世界なので気持ちいいんです。だから、誘惑に負けちゃう人は少なくありません。

福島 誘惑ですか。

 はい。その誘惑に負けて、たとえば「こんなフリーランスは駄目だよ」みたいな、自らの立場に都合の良いポジショントークで誰かを否定する人もいます。

福島 あぁ、いますね。

「そんなことを言うなら、この人はさぞ仕事ができる人なのだな」と感じた人から依頼が来て仕事をする流れになったときに、「言っていることと違うな」と思われてしまいます。他者を貶めて自らをアピールしたところで、それは未来の自分の首を絞めているだけなんですよ。

 なので僕も、自分ができていないことはあんまり言わないようにしています。いまだに、そんなに仕事ができるわけではないので。今年も2回くらい、オンライン会議の予定をダブルブッキングさせてお客様に謝り倒しました。

福島 自分を上げず、他人を下げない。その姿勢は共感します。
 『記憶に残る人になる』でも書きましたが、本当に優秀な人ほど、自分の実績をアピールしないものです。
 僕が憧れたとある優秀な営業マンも、「自分はまだまだ何もしらない」と、無知を自覚している人でした。そんな謙虚な姿勢が信頼を感じさせ、今でも記憶に残っています。

(本稿は、書籍『記憶に残る人になる』の著者・福島靖さんが行なった対談の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)

一緒に仕事をするとすぐにバレる「自分を盛る人」がSNSで書きがちなこと・ワースト1
福島 靖(ふくしま・やすし)
「福島靖事務所」代表。経営・営業コンサルティング、事業開発、講演、セミナー等を請け負う。地元の愛媛から18歳で上京。居酒屋店員やバーテンダーなどを経て、24歳でザ・リッツ・カールトン東京に入社。31歳でアメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッドに入社し、法人営業を担当。お客様の記憶に残ることを目指し、1年で紹介数が激増。社内表彰されるほどの成績となった。その後、全営業の上位5%にあたるシニア・セールス・プロフェッショナルになる。株式会社OpenSkyを経て、40歳で独立。『記憶に残る人になる』が初の著書となる。
幸 義一(みゆき・よしかず)

外資系の製薬会社、医療機器会社を経て2021年3月に起業。全くの未経験からTwitter(現X)をはじめ、約2年でフォロワーが5万人に。集客、販売、採用、PRの全てをTwitterで賄ってきた経験から事業展開。「あなたにお願いしたい」と言われる人(アカウント)になるためのコンサルティング。(株)Omoitsukiを創業し現在4期目。SNSを使って求職者を集めるSNS採用支援をメインサービスとして提供。2023年「大人の夢の叶え方」を商業出版し、著者として講演活動なども行う。