製造現場で働く「ブルーカラー社員」はAI・ロボットに仕事を奪われる?研究者の予測結果は…写真はイメージです Photo:PIXTA

人工知能(AI)の研究者であり、北海道大学大学院 情報科学研究院の教授を務める川村秀憲氏の書籍『10年後のハローワーク』(アスコム)から、要点を一部抜粋してお届けします。今回のテーマは「ブルーカラーの未来」。組立作業員や溶接工など、メーカーの工場で製造に携わっている人々は、AI・ロボットの活用がさらに進む10年後にどうなっているのでしょうか――。

「ブルーカラー社員」はAIに仕事を奪われる?
それとも生き残る?

 広くメーカーを考えた場合、実際に工場でモノを生産する人と、バックオフィスで働く人に分けられます。

 いわゆるブルーカラーの仕事はずっと以前から自動化、省人化が進み、厳しいコスト管理の下に雇用されていました。日本は世界有数の自動化が進んだ国で、それができなかった企業はすでに消え去ったわけです。

 では、AIの登場で大きな影響を受けないかというと、そうではないと思います。建設現場を考えてみてください。建物の規格化、現場の自動化や機械化が進みましたが、じつは人手が必要な作業は多く残されています。ただその労働力は、非熟練の単純労働者でまかなえます。

 そこに、AIを搭載したロボットが導入されていくとします。残るのは、設計や安全管理、現場の監督、そして本当に人の手でしかできない細やかな、あるいは高級感の出せる作業だけになるでしょう。