人工知能(AI)の研究者であり、北海道大学大学院 情報科学研究院の教授を務める川村秀憲氏の書籍『10年後のハローワーク』(アスコム)から、要点を一部抜粋してお届けします。今回のテーマは「10年後の子どもたち」。従来型の価値観のもと、親から「しっかり勉強して、いい大学、いい会社に入りなさい」と教えられた子は、10年後にどうなっているのでしょうか――。
勉強していい大学に入り、
いい会社に入っても職を失う
最近、こんな質問を受ける機会が目に見えて増えてきました。
「AIによって社会が変わってしまわないか、不安で仕方ありません」
「AIが普及すると、どんな仕事が失われるのですか?」
「人類の作ったAIが、結局、人類を滅ぼしはしませんか?」
AIに対して、多くの方が、自身へのネガティブな影響を心配し、不安に感じているようです。
私たち研究者でも、今後、どのようなAIの技術が実用化され、世の中にどのくらいのインパクトを与えるかを予測するのは簡単ではありません。
かといって、1年後と10年後、3年後と30年後をごちゃまぜにして議論しても、混乱や不安は増すばかりです。
そこで今回は、「10年後」をひとつの目安として、世の中がAIによってどう変化し、私たちの働き方、暮らし方にどんな影響を与えるのかを考えていきたいと思います。