日本銀行のサプライズ利上げや近づく米国の利下げ、さらにドル高けん制姿勢の強まりを懸念し、米ドルではない「高金利通貨」が注目を集めそうだ。外貨投資の際には、金利だけでなく通貨の特性を見極める必要がある。豪ドル、トルコリラ、南アフリカランドの高金利3通貨の見通しとリスクを展望する。(ミンカブソリューションサービシーズ外国為替情報担当編集長 山岡和雅)
【豪ドル】
「利上げ」期待で良地合い
豪中銀はインフレ警戒で雇用は堅調
2008年のリーマンショック前、「ミセスワタナベ」と呼ばれた日本の個人投資家による高金利狙いの取引が外国為替市場を席巻した時期があった。そのときに投資対象通貨の代表格だったのがオーストラリアドル(豪ドル)である。
ただし豪ドルはリーマンショック時に下落し、近年はコロナ禍によりオーストラリアの政策金利が0.1%まで下がったことで人気も低下した。足元ではオーストラリアの金利はインフレの進展で4.35%まで引き上げられたものの、米ドルや英ポンドに比べて金利水準は低く、高金利通貨投資の対象として注目されていなかった。
しかし、ここにきて豪ドルの人気が高まっている。世界的な利上げを受けて、世界各国の景気には先行き懸念が高まっており、新興国の一部は昨年半ばから利下げを開始した。また今年6月には欧州やカナダといったG7国でも利下げが始まり、米国も利下げ開始が秒読みの状況だ。そうした中、オーストラリアは年内に追加利上げされるとの期待が広がっている。