100円突破の豪ドル円「再上昇」の可能性、オーストラリアで“まさかの利上げ”期待の理由Photo:PIXTA

RBAは4会合連続で金利据え置き
不安定な市場見通しがチャンスに

 オーストラリア準備銀行(RBA)は5月7日、金融政策会合にて市場予想通り政策金利(オフィシャルキャッシュレート)を4.35%で据え置いた。据え置きは4会合連続となる。

 4月に発表された今年第1四半期のオーストラリア消費者物価指数(CPI)は前期比、前年比ともに市場予想を超える伸びとなり、物価の高止まりが警戒されていた。このためか金融政策会合後に発表されたRBA声明では「インフレの鈍化ペースが想定より緩やか」と記載され、インフレ圧力を警戒する姿勢が示された。ミシェル・ブロックRBA総裁は会見で、「インフレ抑制はすべてのオーストラリア国民にとって有益」と発言し、インフレ抑制姿勢を示している。

 一方で同総裁は、市場の行き過ぎた物価高警戒にクギを刺す姿勢も示した。同総裁は「利上げの選択肢を政策委員会で話し合った」、「利上げが必要ないことを望むが、必要であれば動く」とタカ派姿勢を残している。その上で「金利は適正な水準にあると考えている」、「インフレ期待が安定を失うとは考えていない」とも指摘し、RBAは政策金利を現水準で維持することが基本路線であることを示した。

 この結果、オーストラリアの金融政策に関する市場の見通しは、利上げ、利下げ、据え置きが入り混じる状況となっている。金利先物市場から導かれる今後の利上げ・利下げの確率をみると、6月は利下げ期待が少数派ながら優勢であるが、8月は逆に利上げ見通しが優勢である。そして9月には利下げをほぼ織り込むところまで大きく期待が進んでいるが、11月には現水準に戻る見通しとなっている。

 政策金利の今後の動きが、このような不安定なものとなることはさすがに考え難い。しかし市場の見通しは、好悪材料が混在していることから安定していないようである。

 ただ、市場におけるこうした不安定な状況は、投資チャンスにつながると期待される。