お盆休みも明け、いよいよ上半期も残すところあとわずか。目標の達成に向けてラストスパートをかけたくなる時期ですが、目標を気にするあまり「自分本位な仕事をしてしまう」のも避けたいところ。目先の結果を求めるあまり、相手からの信頼を失ってしまうことも。
そこで今回は、2024年6月に発売するとたちまち重版となり、「仕事の本質を学べた」「お客様とのエピソードの数々に5回は泣きました」と反響を呼んでいる『記憶に残る人になる』の著者・福島靖さんと、株式会社Omoitsukiの代表であり『大人の夢の叶え方』の著者でもある幸義一さんに、夢を叶えるためのコツについて話していただきました。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)
「しまほっけ」と「夢」は同じ
Q 自分の夢や在り方を掲げたいのですが、つい自分を否定しそうになってしまいます。
福島 靖(以下、福島) 夢や目標って、それが大きいほど、「本当にできるんだろうか?」って不安になりますよね。
そんなとき僕は、ある日の居酒屋で食べた「しまほっけ」を思い出します。
幸 義一(以下、幸) よく焼き魚定食とかで出てくる?
福島 そうです。
僕の好きな居酒屋が新宿御苑近くにありまして、2年くらいまえに、そこでしまほっけを頼んだんです。
大根おろしもこんもりついていたのですが、隣の人との会話に夢中になっていた僕は、結構な量の醤油を垂らしてしまったんです。
すると、大根おろしの山の頂上に垂れた醤油が、だんだんと裾野まで広がっていきました。
その光景を見て、僕はふと「夢や目標も同じだな」と思ったんです。
幸 んん? どういうことでしょう?
福島 つまり、いきなり裾野まで広げるのって無理なんですよ。
でも醤油を20滴ぐらい垂らしたら、裾野まで届くんです。
要するに、たとえ小さな一滴に思えても、最初の一滴を垂らさなかったら、永遠に裾野までは広がっていかないんです。これが、夢や目標と同じだなと思ったんです。
小さな一歩がないと、大きな夢には辿り着かない
福島 よく、「準備ができたらやります」と言う人がいます。
昔の職場に、勉強して知識がついたらソムリエ試験を受けようと考えている人がいました。
この前、10何年振りにその人に会いました。でも、まだソムリエの資格は取っていませんでした。
何事においても、今すぐできることっていっぱいあります。完璧じゃなくてもいいんです。今できるベストでいいんです。
何か1つやってみることが大事です。
そうやって何か1つチャレンジをすると、また別の何かが見えてきます。そして気づいたら、大根おろしに醤油が浸透していったように、自分の大きな夢や目標に近づいたり、叶ったりしているんじゃないかなと思います。
最初の醤油を垂らす、つまり今すぐできる簡単なことをやってみるのが大事なのだと思います。
夢に向かうための「コンパス」を持っているか?
幸 ここまでにも「在り方」の大切さについて話してきましたが、「夢」が目的地であるなら、在り方はコンパスです。
僕の夢はTEDスピーチの舞台に立ち、世界に向けてスピーチをすることです。
ですので、その舞台に立つような人間であるということが、僕の在り方です。変なことをやっていても当然そこには行けないですし、逆に、やらないといけないことも見えてきます。夢に向けた在り方というコンパスが、行動指針になるんです。
具体的には、1人の前でもいいから人前で話してみることを、5年前から始めました。人前で話したことのない状態では、当然TEDの舞台には立てないですからね。
そんな経験はありませんでしたが、まずはZOOMセミナーでもいいからやらせてほしいと知人に頼んで、まったく知らない10人の前で話す機会をもらいました。
最終的な夢と比べると、小さすぎる一歩です。
でも福島さんも言ったように、目の前の小さな夢を叶えていくことが、大きな夢を叶える最短距離なのだと思います。
福島 最終到達点である夢ばかり見ていても、自己肯定感が下がるだけですからね。
『記憶に残る人になる』にも書きましたが、小さな挑戦を積み重ねて成長を実感することが大切です。
在り方というコンパスを持ち、方向さえ間違っていなければ、たとえ遠回りでも、時間がかかったとしても、少しずつであっても、大きな夢に近づいていけるはずです。
(本稿は、書籍『記憶に残る人になる』の著者・福島靖さんが行なった対談の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)
「福島靖事務所」代表
経営・営業コンサルティング、事業開発、講演、セミナー等を請け負う。地元の愛媛から18歳で上京。居酒屋店員やバーテンダーなどを経て、24歳でザ・リッツ・カールトン東京に入社。31歳でアメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッドに入社し、法人営業を担当。お客様の記憶に残ることを目指し、1年で紹介数が激増。社内表彰されるほどの成績となった。その後、全営業の上位5%にあたるシニア・セールス・プロフェッショナルになる。株式会社OpenSkyを経て、40歳で独立。『記憶に残る人になる』が初の著書となる。
外資系の製薬会社、医療機器会社を経て2021年3月に起業。全くの未経験からTwitter(現X)をはじめ、約2年でフォロワーが5万人に。集客、販売、採用、PRの全てをTwitterで賄ってきた経験から事業展開。「あなたにお願いしたい」と言われる人(アカウント)になるためのコンサルティング。(株)Omoitsukiを創業し現在4期目。SNSを使って求職者を集めるSNS採用支援をメインサービスとして提供。2023年「大人の夢の叶え方」を商業出版し、著者として講演活動なども行う。