世界的に見ても、日本は特に「渋滞」に悩まされている国の一つです。国土交通省などが渋滞解消に取り組んでいるにもかかわらず、道路の混雑はなぜ解消されないのでしょうか。その要因を、前後編に分けてお届けします。後編のテーマは「高速道路」。ドライバーの「憩いの場」になるはずが、大渋滞を招いているパーキングエリアとは?(モータージャーナリスト 諸星陽一)
※本記事は前後編の後編です。一般道の交差点で渋滞が起きる理由について解説した前編はこちらから
「ファスナー合流」を
妨害するのはNG!
夏休みにクルマで出かけて、あまりにひどい渋滞に閉口した方も多かったのではないでしょうか? 実は、日本の渋滞は世界的に見ても深刻なレベルです。母国の交通量によっては、訪日外国人のドライバーがびっくりすることも多くあります。
なぜ、こんなに長い渋滞が起きるのでしょうか。また、根本的な解決方法はないのでしょうか。今回は高速道路で渋滞が起こる理由について、筆者なりの見解をお伝えします。
高速道路で「渋滞の先頭」になりやすいのは、出入り口やインターチェンジなどの合流地点です。交通量が少ないときはスムーズに合流できていても、増えてくると合流時の渋滞はひどくなります。
合流をスムーズに行うには、合流地点の先頭で1台ずつが交互に合流していく「ファスナー合流」という方式が効率的です。ただ、法律でそうした合流のやり方が定められているわけではなく、あくまで善意によって成り立つものなので、少しでも早く合流したがるクルマがいれば効率は落ちてしまいます。
中には、ファスナー合流のために合流地点の先頭まで進むクルマを「ずるい」と感じ、進行を妨害するドライバーもいるようです。こうした攻防が流れのスムーズさを妨害し、渋滞は悪化します。高速道路会社はファスナー合流の大切さをアピールしていますが、それだけではなく「手前合流の非効率さ」を周知する活動も大々的にするべきでしょう。
次ページ以降では、パーキングエリアの立地なども含め、高速道路における渋滞要因についてさらに解説していきます。