都会の喧騒から離れ大自然に身を投じると、感性が研ぎ澄まされて自分自身と本気で向き合うことができる。だが、何かと忙しく実際に行くのが難しいケースも多々あるだろう。そこで、自然農法の実践に取り組む筆者が推奨するのが、プランターでの野菜栽培。土に触れることで、きっと新鮮な発見に出会えるはずだ。※本稿は、山岸 暢『ファームシャングリラ 農業で叶える人と自然が共生する未来』(幻冬舎メディアコンサルティング)の一部を抜粋・編集したものです。
自然に触れたいという願望は
誰のなかにもあるはず
大自然に触れると心地よさを感じるのは人類の本能だと私は思っています。これは人間の進化の過程の遺伝子によるものであるとされています。つまりどんな人でも本来、自然に触れたい、還りたいという願望をもっているのです。知らず知らずのうちに自然を求めるのは人として当たり前のことなのです。これは人としての土台でもあると私は思います。
例えば都会の商業施設であっても、ウッドデッキや屋上緑化庭園を設置しているところが増えました。これは、自然に引き寄せられる人が多いことを分かったうえでの商業戦略です。
多くの人は日々のタスクに追われて忙しく慌ただしい生活をしており、現実と違う方向へ流れていかないように理性を保とうとしているのではないかとも思います。自然のなかで深呼吸し、澄んだ空気を心ゆくまで感じ、その大いなるエネルギーに触れることで、自分自身をじっくり観察し、心の奥深くから湧き上がる声に耳を傾けてみるべきです。
本来の自分を呼び戻すことこそが大切であり、そのための選択肢の一つとして、私たちの展開しているファームシャングリラ農法に取り組んでみることをお勧めしたいと思っています。
大自然に触れるには、都市から離れて地方の山や海に行ったり、農地で農業体験したりすることがいいと私は思います。しかし、実際には行くのが難しいという人がほとんどであるのも確かです。
そんな人に私がお勧めしたいのは、プランターでいいので自分の手で野菜を育ててみることです。これなら都会の真ん中のベランダでも気軽に試すことができます。
農地と比べたらプランターはとても小さな世界です。それでも土に触れたり自分で何かを植えたりすることによって気づけることはいくらでもあります。
大切なのは自分で体験して気づきを得ることです。