GWは山菜の最盛期GWは山菜の最盛期 Photo:PIXTA

北海道や東北、北陸地方などの雪国もようやく遅い春を迎え、本格的な山菜シーズンが到来する。栽培・大量生産できない山菜は希少価値があり、流通と販路の拡充で大都市圏では高値で取引されている。そのため地方では自宅の食卓用として採取するだけではなく、家計の足しにするため山に入るお年寄りも。長く雪に閉ざされる地域の方々にとって、春の恵みは待ちに待った楽しみの一つだが、毎年のように遭難や滑落、クマに襲われるといった被害が発生。慣れない方が山菜と見間違えて毒草を採取し、誤食による死亡事故も起きているので注意が必要だ。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

春を告げる天ぷら食材

 山菜とは野山に自生し、食用される野生植物を指す。長い時間をかけて食べやすい味にし、大量生産できるように品種改良された栽培植物(野菜)と違い、収穫量は少ない。独特の風味を持つ半面、苦みや灰汁(あく)があってクセもあるので好みは分かれるだろう。

 しかし地域や季節によって採取できる種類も変化するため、最近は食通だけではなく舌の肥えた一般の方々も買い求めるようになり、地方の郷土料理店や温泉旅館などが名物として提供しているところも多い。

 もちろん山菜はスーパーなどに並ぶ野菜のように栽培されず、あくまで天然・自然のものをいうが、最近は山菜と認識されていたが栽培が可能になり、通年で広く販売している種類もある。

 前述のように季節によって採取できる種類は限られるが、昔から乾燥や塩漬けにして保存食とされてきた。1960年代以降はレトルトパウチや缶詰などの加工食品として、大都市圏のスーパーなどに並ぶようになった。

 山菜そば・うどんや炊き込みご飯がいつでも手軽に味わえるようになったのは、こうした加工が可能になったことが背景にある。