東日本大震災で被災した宮城県の舞台ファームが日本最大級のリーフレタス工場を完成させた。農業を災害から「復旧」させるだけでなく、儲かる農業に「再構築」したのだ。特集『儲かる農業 堕ちたJA』(全17回)の#12では、舞台ファームの飛躍の秘訣である企業との提携戦略に迫る。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
レジェンド農家3位の舞台ファーム
日本最大級レタス工場で経常10%の野望
ダイヤモンド編集部が事業規模や成長性、安定性などの観点から選定した「レジェンド農家ベスト20」(詳細は本特集の#8『「レジェンド農家」ランキング【ベスト20】2冠王の野菜くらぶ代表が語る経営危機からの復活劇』参照)で3位、耕種農家としては最上位となった宮城県の舞台ファームは東北を代表する“豪農”だ。
しかし、針生信夫社長が農業を始めた頃は、農作業は肉体労働ばかりで農繁期には睡眠時間を確保するのも苦労するほどだった。
それから40年後、舞台ファームは単体で売上高24億8000万円、グループ全体で同41億円の規模に成長した。5年後に売上高100億円、経常利益10%の達成に照準を合わせる。
鍵を握るのが国内最大級のリーフレタス工場「美里グリーンベース」だ。太陽光とLEDで野菜を育てる5ヘクタールの施設で、リーフレタス国内需要の5~6%を供給できる。総投資額は34億円に上った。
なぜ農業界で類を見ない巨額投資が可能になったのか。それを理解するには東日本大震災で農地の8割が被災した舞台ファームがいかに復活したかを知る必要がある。
次ページでは、舞台ファームが震災後の経営危機から復活し、豪農化することを可能にした企業とのパートナーシップを徹底解説する。