「クルマの音がうるさい」「燃費が悪い」→もしかしてタイヤのせい!?専門家が教える、実は奥深いタイヤ選びの世界Photo:PIXTA

長年にわたる取材・執筆活動や、安全運転講習会のインストラクター活動などを通じて「整備の知識」をマスターした筆者が、タイヤ選びの要点について解説します。実はタイヤの特性に応じて、静粛性(静かさ)・燃費性能・ブレーキ性能は大きく変わってきます。元々は高性能のタイヤでも、長年使い続けた結果、知らず知らずのうちに劣化しているケースもあります。その事実を知った上で、自分のカーライフに応じたタイヤを選びましょう。(モータージャーナリスト 諸星陽一)

タイヤを交換して
「良くなった」と感じるのは当たり前!

 クルマの消耗品の中で、代表的存在といえるのがタイヤです。タイヤは走れば走るほどすり減りますので、ある程度の距離を走れば交換するのは当たり前。しかし、タイヤショップやカー用品店に行くと、さまざまな種類のタイヤが所狭しと並んでいます。経験豊富なドライバーの中にも「何を選べばよいのか……」と迷う人がいるかもしれません。

 果たしてどんなタイヤを選べば、満足のいく結果が得られるのでしょうか。今回は「タイヤ選び」の基礎知識について解説します。

 さて、タイヤを交換した後、振動の減衰性やグリップ力などが「良くなった」と感じる人がほとんどでしょう。それもそのはず。多くの人はタイヤがすり減って、性能が大幅にダウンしてからタイヤを交換します。新品時の性能同士を比べているわけではなく、性能が大幅にダウンしたものと新品を比較しているので、後者の満足度が高くなるのは当然です。

 数万kmを走る前の、何年も昔の感覚を思い出すということは、なかなか難しいものです。そこで「新品のタイヤ」についてお話しておくと、タイヤは大きく分けて2つの種類があります。新車時に装着されているメーカー純正の「OEMタイヤ」と、交換用の「リプレイスタイヤ」です。

 OEMタイヤは、そのクルマの性能に合うようにチューニングされたタイヤです。リプレイスタイヤは汎用品であり、特定のクルマに合わせて設計されたものではありません。OEMタイヤと同じ銘柄のリプレイスタイヤが存在する場合もありますが、タイヤの内部構造や使われているゴム、パターンなどは異なると思ってください。