岸田首相が自民党総裁選への不出馬を表明し、次期総裁の座を目指す動きが活発になっている。その中で最有力候補の1人と目される石破茂氏。自身の国民人気と党内不人気を自己分析。さらに小泉純一郎元首相が石破氏に直接伝えた「自民党総裁になるために必要なこと」を明かした。(構成/石井謙一郎)
石破茂が自己分析「私が党内で敬遠される理由」
――渡辺恒雄さんの著書『自民党と派閥 政治の密室 増補版』が出版された1967(昭和42)年当時と現在では、政治の置かれた環境が違うというお話でした。
あの頃は高度経済成長期で、人口も増えていました。冷戦構造が確立していて、安全保障環境も安定していました。パワーがバランスしているときは、緊張は高いけれども大きな戦争は起こりにくいのです。日本にとって、とてもいい時代だったと思います。
自民党政権も安定していて、総理大臣ごとにカラーはあったけれど、イデオロギーや政策の論争はなかった。だから党内で派閥抗争をやっていても、許されたのでしょう。
しかし経済が停滞し、人口が減り、食糧もエネルギーも自給できない令和のいま、そんな余裕はありません。
――岸田内閣と自民党の支持率が低迷する中、どの世論調査を見ても「次の総理にふさわしい人」の1位は石破さんです。9月の総裁選には出ますか。同じ質問ばかりされて、お嫌かと思いますが。
嫌だよ(笑)。何度聞かれても、時期が来なければ答えられない。総裁選は「出たいです」と無邪気に言えば出られるようなものじゃないですから。
加えて、「何をやるために総理大臣になりたいのか」を確立することも必要です。過去に4回出ましたが、その都度「何をやるために」と申し上げてきました。「じゃあ今度は何なの」という目的を自分の中で確立することが、まず大事じゃないでしょうか。
議員になるのも大臣になるのも、総理大臣になるのも手段であって、目的ではありません。自分の理想とする政治を実現するために内閣総理大臣という職があるのであって、「一度でいいから権力の頂点に立ってみたい」なぞと思ったことはありません。
いまでも「総理になったら何をしたいか、しゃべってみろ」と言われれば、2時間でも3時間でもしゃべります。だけどそれにも、優先順位付けとか、相互の関連性とか、ブラッシュアップが必要ですよね。
――ご自身の国民人気が高い理由については、どう捉えていますか。