金融リテラシーなどなくても
老後2000万円の備えはできる

 実は二十数年前、私がさわかみ投信に入社したことをきっかけに、特に深い考えもなしに、弊社さわかみファンドで月1万円の「つみたて投資」を始めた大学時代の友人K君がいる。その後、社会人として成長する中で月々の積立金を少しずつ増額した等々もあって、この二十数年間の投資で彼の資産は軽く2000万円を超えている。もしもこれが10分の1の額、たとえば月1000円の積み立てだったとしたら、ようやっと200万円を超えたに過ぎない。いずれにしてもK君は40歳になったあたりで、老後2000万円なにがしの問題についてはすでに解決してしまっている。

 ところで、このK君には金融リテラシーなるものが備わっていたのだろうか?

 答えは即答で「NO」だ。彼はたまたま友人の私が投資信託の会社に入ったことがきっかけで「つみたて投資」を開始した。重要なのは、K君は自分の意思で口座を開設し、その後20年以上「つみたて投資」を毎月継続したということである。

 彼は目の前にあったきっかけ、言い換えればチャンスをみずからの意思によって現実のものにさせた。この事例からも、投資に必要なことは、金融リテラシーなどではなく、意思と行動であることがよくわかる。お金の勉強ばかりしていても、財産を築くことなどできないのだ。