任せられたことの目的や意義がわかっていれば、任せられた者は、仕上がりのイメージを持てますし、やりがいを持って仕事に取り組むことができるでしょう。その案件がただの作業ではなくなります。

 任せる側は、ついつい「これくらいはわかっているだろう」と思い、部下にそのあたりの説明を簡単に済ませがちですが、それではいけません。面倒臭がらずに丁寧なコミュニケーションを取ってください。

 任せるにあたっては、自分の裁量で意思決定できる権限の範囲を明確にすることが大事です。

 任せられた側は、自分で進めていい事項と、自分単独の決定権がなく上司に相談しないといけない事項が明確になることで仕事がしやすくなります

 任せるにあたっては、部下に任せる案件の内容と目的を伝えた上で、部下からその案件の遂行にはどのような権限が必要かを聞き取りして、部下の裁量権の内容を決めていくといいと思います。

部下に権限を与えた後
上司は何をする?

 また、責任を取るとは、与えられた役割を果たすこと、結果が出せなかった時に必要な対応をすることを言います。

 つまりやりきる責任(遂行責任)、説明責任、事後対応の責任、賠償責任です。

 会社の業務として行う場合、必ずしも賠償責任を問われる訳ではありませんので、むしろ遂行責任や事後対応の責任が大事だと思います。

 権限と責任を与えたら、あとはマイクロマネジメント(編集部注/管理職や上司が部下の行動を細かく管理し、過干渉すること)をせずに見守ることが大事だと思います。

 もちろん、報連相(編集部注/「報告」「連絡」「相談」の略)は受けられる体制にしておき、上司が動かなきゃいけなくなったらすぐに動けるようにはしておくとよいでしょう。