他人に「仕事を任せる」とき三流は作業内容だけ伝える、では一流は?Photo:PIXTA

仕事をするうえで「他人に任せる」ことの重要さに異論はないだろう。しかし、権限と責任を部下に委譲した後、上司は何をすればいいのか。仕事を丸投げしても慕われる上司が欠かさずやっていることとは?本稿は、井上晴夫『任せる社長ほど会社はうまくいく 忙しい経営者は社長失格』(現代書林)の一部を抜粋・編集したものです。

仕事を丸投げしても慕われる上司が
欠かさずやっていること

 何を任せるのかは、部下の能力、適性や意欲、その時の他の仕事との兼ね合いで、任せる案件と任せ方が変わってきます

 任せたい仕事がその時の部下の状況にフィットしているかどうかです。レベル感は、現状の力よりも少し頑張れば達成できそうなものになるでしょう。

 誰に任せるのかは、任せたい案件とその職員がフィットすればいいですが、育成段階では、まず部下が先で、その部下に任せられる仕事を見つけてくることが多いと思います。

 そうやって任せながら育成ができてくると、先に案件があって、その案件に吸い寄せられるように任せる部下が現れるイメージになることが多いと思います。

 上司による「丸投げ」が悪いように言われるのは、部下がその任せられた仕事を能力的に処理できないか、あるいはその時の余力からして受けられないような場合が多いからだと思われます。

 要は上司が、部下のその時の余力や能力、意欲などをちゃんと判断して任せていないから、丸投げがうまくいかず、丸投げのイメージが悪くなるのでしょう。

 なお、部下に組織に貢献するという意識が薄い場合もありますが、それを含めて上司が任せる相手を選別しないといけないと思いますし、組織に貢献する意識が低い従業員が多い場合は、企業文化の問題になってきます。

三流上司は作業内容だけ伝える
では一流は?

 実際に任せるにあたっては、任せる案件の目的と意義を明確にした上で、権限(自身で意思決定できる裁量)と責任を与えて、その内容を明確にして任せることが大切です。

 任せる案件の目的と意義を明確にするというのは、ただ単にお願いする作業を伝えるだけではなく、なぜその作業をするのか、その手順にするのはどういう意味があるのかということを明確に伝えるということです。