出産で崩れたボディラインを
取り返そうと悩むママたち

 最近は「産後ダイエット」という言葉が生まれ、ママたちの体型コンプレックスを突いて「妊娠前の体型に戻れる!」と謳う産後ダイエットのサービス・商品も多く出回るようになりました。「出産後、なかなか妊娠前の体重・体型に戻れない」という悩みを抱えるママは非常に多く、実に96%の人が「1年後に体型が戻っていない……」と感じているというアンケート結果もあります。

 産後ダイエットで皆が当たり前のように追う「妊娠前の身体」という理想像ですが、妊娠前の身体に戻ることはママたちにとって、そもそも本当に正解なのでしょうか?

 子供がいなかった時は、手のひらサイズのハンドバッグ1個でお出かけができました。子供ができてからは、大きなバッグにいっぱいの荷物を入れ、10kg以上になる子供を抱えて出かけます。

 全く異なるライフスタイルになったのだから、それに合わせて身体が変わるのは当然のこと。無理やり“あの頃(出産前)の身体”に戻せたとしても、産後に求められるようになった身体的・精神的負荷に耐えられないでしょう。

 ライフステージに合わせて、身体は常に変化していきます。約1年をかけて1つの生命をお腹の中で育て産み落とすという大仕事をした身体は、ホルモンの変化、皮の伸縮、もともとの1000倍以上ほどのサイズになった子宮、骨盤底筋が受けたダメージ、骨格の変化など、努力だけでは戻せないほどの変化を経験し、新しい生活を始めています。

 このように身体は大きく変化したのに、出産前への憧れが強い状態は、心がその変化についていっていない証拠です。

 妊娠・出産で変わった筋肉の状態や癖は生活していれば勝手に戻るわけではないので、その時期に特化した運動が必要なのは確かです。しかし、産後エクササイズとダイエットとは分けて考えなければいけません

 例えば、よくダイエット向けエクササイズで紹介されるスクワットは、妊娠中に前に傾いた骨盤をさらに悪化させ、出産でダメージを受けた骨盤底筋のトラブルにつながるリスクが高いため、初期の段階では避けるべき種目です。