産後ダイエット手法の多くは
ママの体のためになっていない

 スクワットで鍛えられる筋肉は、身体の中でも最も大きい大腿四頭筋・大臀筋(前もも・お尻の筋肉)なので「カロリーを効率よく燃やせる」という理由で、スクワットはダイエットメニューに加えられがち。でも産後に焦ってスクワットをしてしまうと、身体を痛めつけてしまいます

 本当に心や身体の健康を優先するプロなら、10カ月かけて大きく変化した身体を数カ月で急激に戻すようなことはしません。産後ダイエットが流行ることで1番利益を得ているのはママたちではなく、やせたい人が増えるほど売れ行きが伸びるダイエット業界ではないでしょうか。

 1年で体型が戻ったと感じるのはたった4%というデータも出ているのですが、4%というごく少数のママのように自分も戻るべきなんだ!!と感じてしまうのは、「出産前と変わらず」や「お母さんには見えない」の褒め言葉、「あの芸能人がやった産後ダイエット」という広告など、普段囲まれている環境が原因にあります。

 以上で挙げてきたような危険性を知っていたら、産後ダイエットと謳う多くは、とてもママのために発信されているとは思えません。

 産後1年間は、ホルモン値が安定するのを待ちながらダメージを受けた身体のケアをして、寝る時間を確保するのを優先しましょう。

 出産後にすぐに体型を戻すプレッシャーを感じる時は、そうさせるような環境から離れるべきなので、SNSを見るのをやめるのもオススメです。

 日本ではまだまだ妊娠中の運動を禁止したり、妊娠したら退会させるジムがあちらこちらで見られるため、孤立しがちな妊婦・ママが正しい情報に触れる機会が少ない状態です。産前と産後の心身の健康に焦点を当てたフィットネス教室なども増えてきているので、そういった専門家のいる環境で正しい知識を得ながら、不健康な風潮から自分の身を守ってあげましょう。

流行は10年以内に変わるが
あなたの身体はずっと変わらない

 最新科学も、流行も、常識も、場所と時代で変動します。今日一生懸命追っている最新科学だって、10年後には間違った古い知識になっている可能性もあります。私がずっと指導している70代の方が「これまでの人生で何度も『1日にいくつ卵を食べていいか』のガイドラインが変わったよ。今はいくつが正解?」と言っていました。