出産を経た女性にとって、産後の体型戻しは大きな関心事だ。一日でも早く妊娠前の体型に戻したい産後のママたちは、SNSに出回る「○○で痩せた!」「産後の体型が元通りに!」という情報に敏感に反応しがちだが、そのダイエット法は、本当にあなたの心と身体にプラスだろうか。ダイエット先進国・ニュージーランドで学んだ著者が、日本女性のダイエット事情に警鐘を鳴らす。本稿は、mikiko『ニュージーランド式 24時間やせる身体をつくる ベストセルフダイエット』(Gakken)の一部を抜粋・編集したものです。
プロボクサー向けのダイエットで
一般人が痩せることに意味はある?
ネットで表示される何億もの「科学的に正しいとされる方法」には「特定のグループで効果のあった方法を、誰にでも効果があるように紹介したもの」も混ざっています。
プロボクサーのダイエットをオフィスで働く一般人に勧めるような記事や、マウスを使った実験結果をそのまま人間に当てはめたものまで実にさまざま。その全ての“科学的に証明された”方法のうち、「あなたにも当てはまるデータを使ったもの」はどれだけあるでしょうか?
ダイエットの世界では、伝言ゲームのような誤った情報伝達が頻繁に起きています。
例えば、SNSなどで見た記事のタイトルが「1番やせる方法はランニングだった!」と書かれていたとしましょう。この要約情報を見た人の中に、「研究対象はアメリカの大学に通う男性アスリート」「今後も他の人を対象にした研究の余地がある」といった詳細にまで目を通す人がどれだけいるでしょうか。
タイトルだけ見て判断したような穴だらけの情報が、SNSの投稿や他のメディアを通じて伝言ゲームのように伝わった結果、アメリカの大学に通う男性アスリートを対象にして分かった方法が、ずっと日本で暮らしてきた女性にも同様の効果があるような伝えられ方をしてしまうのです。
体質が「遺伝的要素」と「環境的要素」の掛け合わせであることを知っていれば、体質も食も文化もライフスタイルも性別も異なる人たちの(時には他動物の)データをそのまま自分に当てはめるべきではないことが分かります。しかし、そこまで詳細に気を配ることなく情報収集・伝達ができてしまうネット時代では、簡単に誤解が広まり、その誤解がさらなる誤解を生んでしまうのです。
SNSで誰でも発信できるようになった時代においては、科学的根拠を述べている記事にすら「これって誰向けの情報?」と情報元までたどって調べて、自分に合うかどうかのふるいわけをしていかなければなりません。
科学的根拠がある情報だからとすぐ信頼して飛びつくのではなく、「誰を対象にした研究が基になっているのか?」「誰に向けた情報なのか?」「自分に応用できるか?」と調べながら、自分との外的妥当性を判断する癖をつけてください。