国民からの支持率が急降下して久しい自民党政権。しかし、だからといって野党が国民にアピールできているかといえば、そうではない。政権交代を起こすためには「無党派層」を意識的に取り込んでいくしか道はないのだ。野党のとるべき道を橋下徹が緊急提言する。本稿は、橋下 徹『政権変容論』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。
無党派層を動かす
戦略を立てるべき
――来たるべき次の衆議院総選挙において、野党に必要な戦略は何でしょうか。
橋下 まず主要な野党はどこもかしこも、自分たちの政党支持層に向けて必死にアピールをしています。しかし、先に述べたように野党各党の支持率など、所詮は1けた台。自分の支持層に向けて改めてアピールしたところで日本全体は動きません。
むしろ狙うべきは6割を超える無党派層。そして自民党に愛想をつかして離れていく人々です。そこに刺さる戦略を野党は意識しなくてはなりません。
「自分の支持層向けのアピールではなく、自分たちに無関心な層へのアピール」
野党各リーダー層が頭を切り替えなければならないしょっぱなのポイントはここです。たいがいの政党のトップは、自分たちの支持層に受けることを一番に考えてしまいますから。
特に維新の会は、関西では自民党を上回る圧倒的な約20%超えの支持率があります。それなのに全国平均になると1けた台に沈んでしまうということは、関西以外の支持率は驚くほど低いものだと推察できます。
――野党各党は、そもそも「狙うべき層」を間違えている、と。
橋下 今、野党に追い風を吹かせるために必要なことを整理すると次の3つが特に重要です。
(2)地方行政で実力を示すこと
(3)「左右対決」ではなく「新旧対決」に持ち込むこと
まず(1)「徹底して自らの襟を正す」ですが、いま僕が心配しているのは、自民党の裏金問題がブーメランとして野党に返ってこないか、ということ。口角泡を飛ばして自民党批判をしていた自分たちが、実は同じ穴のムジナだったことがバレる瞬間ほどみっともないことはありません。
パーティー券を、いつ誰に何枚売ったのか、その枚数と収入金額は合っているのか。こうしたところについて、野党は大丈夫かなと不安になってくるんです。
野党は身を削ってでも
カネの動きを透明にせよ
橋下 僕は今回の自民党の裏金問題に関しては野党にしっかり自民党を追及してもらいたいけれど、たとえば旧文通費の問題に関しては、立憲民主党などは自民党と同じく領収書を公開していません。彼らは「自民党が公表しない限り、自分たちだけが公表すると不利になる」と言いますが、そんな言い訳、国民にはまったく通用しませんよ。
「なんだよ、結局アンタらも同じかい!」となってしまう。