橋下 維新だって、政策活動費という領収書公開不要のおカネを扱っています。そうなると、国民からすると「自民と何が違うのか?」となってしまう。「結局、目くそ鼻くそやん」と思われても仕方がない。

 僕は維新に対して、「旧文通費だけでなく政策活動費についても領収書を公開すべきだ」と以前から提言していました。それに対して維新から返ってきたのは「組織には領収書を公開しないで使えるカネも必要だ」というロジックでした。それでは自民党と同じです。

「カネの流れがクリーンでない」ことが現在の自民党批判の核になっているのに、野党が似たり寄ったりのカネの使い方をしていたら、まったく説得力が生まれない。

 ここは潔いさぎよく、「スミマセン!これまでは領収書を公開していませんでした。でもこれからは、自分たちが率先して開示します。おカネの流れをより透明化した政治を目指します!」と言うべきで、この姿勢こそが無党派層を惹きつけるカギになると思います。

「自民=旧弊の政治スタイル」vs.「維新や立憲=国民と同じ金銭感覚の新しい政治スタイル」という違いが明らかになり、有権者に向けた強力なアピールになるはずです。

地方行政で実力を示して
国政への説得力を持たせよ

――こちらが多少流血してでも、「自民党をやっつける!」覚悟を示さなきゃならんと。どちらが本気か、腹を括くくれるかの真剣勝負は、国民の関心を高めますね。

橋下 野党にそのセンスと嗅覚、覚悟があれば、今は本当に大チャンスが訪れているんです。自民党は政治とカネの問題で自壊状態。それに加えて岸田政権の経済政策メッセージもボロクソに批判されている。

 税収の上振れを国民に還元すると言っておいて、実は他の予算にもう全部使ってしまっていたとか、国民に実質負担のない形で子育て支援の財源をつくると言っておきながら、蓋を開けてみたら医療保険料を上乗せしますとか……。自分たちは国民に開示しないお金を何千万、何億と使いまくっているのに、生活の厳しい国民の負担をどんどん増やしていく。

 政治家が扱うカネの動きは、有権者がいま一番過敏になっているところです。ですから政治とカネの部分で徹底的に透明化する姿勢を示せなければ、「やっぱり野党政治家も信用ならん」となりますよ。

――(2)の「地方行政で実力を示すこと」は、大阪における維新の実績が1つのモデルです。「政権を任せてくれ」と野党は口々に国民に訴えるけれど、「本当に任せて大丈夫なの?」「あんたら国政を動かした経験がないじゃないの」という有権者の不信感を払拭するためには、まずは地方で実行力を示せ、と。