リートの運用会社の株はいわば虎の子で、売れば急場をしのげるとはいえ売った分の配当収入が減ることになる。クラウンジュエリーの一部を売るのはとても辛いことだったが、伊藤忠にバックアップしてもらうことで株価が下げ止まるなら、との思いで泣く泣く売った。
2007年のピーク時には49万円だったケネディクスのリートの株価は、ニューシティ・レジデンス投資法人の破綻からわずか8日後の2008年10月17日に5万9500円の安値をつけた。ちなみに日経平均も10月28日に一瞬だけ6994円となり、26年ぶりに7000円を割った。
「ビルの引き取りは勘弁して」
デベロッパーに何度も土下座
2008年12月期のケネディクスの決算では、118億円の特別損失を計上し、108億円の純損失となった。その前の期(2007年12月期)には純利益146億円と最高益を達成したばかりだったのだが……。2008年に支払った違約金だけで25億円にも達していた。
ケネディクスのような不動産ファンドの運用会社は、デベロッパーに「完成したら買い取る」と約束して、投資用のオフィスビルや賃貸マンションを建設してもらう(当時は「出口コミット案件」と呼んでいた)のだが、計画通りビルが完成しても買い取るお金がない。
そこで「申し訳ないが違約金を払うのでビルの引き取りは勘弁してください」と買い取り資金を節約するしかなかった。