しかも意見書を書けない理由は、「今後1年間の資金繰りを証明できないから」というものだった。ケネディクスもモリモトと同じ監査法人を使っていたので、「同じことをやられたらどうしよう」と戦々恐々だった。全く同じ理由で意見書を出してもらえずに天国に行った会社が続出した。

 ちなみにモリモトは民事再生手続き終了後、持ち前のブランド力を発揮し、2024年現在でも東京の城南地区デベロッパーの雄として活躍している。大切なのは再生する力だ。

 企業の生殺与奪権を握っているのは銀行だけではない、格付け機関や監査法人が企業を殺せる時代が来てしまったのだ。何ということだ!しかしこれは「100年に一度の世界金融危機」のほんの序章にすぎなかった。

「5億円までなんとか調整する」
伊藤忠商事役員の助け舟

 2008年10月には、ニューシティ・レジデンス投資法人が民事再生法の適用を申請し破綻した。不動産投資信託(REIT)では初めての破綻だった。リートまで破綻するとは思っていなかったので驚いた。