農産物価格を引き上げて
新規就農者の育成が必要

 ならば、いざと言う時、食料を世界に供給できる生産能力を持つべきではないでしょうか?土は、人間が簡単に大量生産できるものではありません。1センチの耕土ができるのに100年かかるのです。世界にはもっと農業生産を増やしたくとも土が悪くて作れない国がたくさんあります。

 良い土を持つ国でも、これまでよりも少ない生産しかできなくなる懸念は増えてきています。

 そんな時に対応できる生産力を持てる国は、そう多くはないはずです。そして日本の土には、その能力があります。

 とはいえ、そんなに作物を作っても今の市場環境は供給過剰状態なので売れません。作っても農家は自分の首を絞めるだけです。したがって当面は、食料不足が深刻になるかもしれない頃までに対応できる多収品種の開発を多数進めておくことと、作り手である農家の、それも規模拡大に余力のある農家の育成を進めておかねばなりません。

 そのためには、農産物価格を引き上げ、若く零細で投資余力のない新規就農者にも余力を持ってもらい、将来に備えておいてもらわねばなりません。

 こんなことを書くと、おまえは国民に大きな負担を強いてでも農業を保護すべきだと言っているのかと批判されそうです。