月給約16万円のサラリーマンから、183万人の登録者数を誇るYouTuberへ華麗なる転身を実現したチュ・オンギュ氏。彼は、スマートストア(ECサイト)を運営する経営者でもある。このような話を聞くと、多くの人は「元々、よほど才能がある人だったんだろう」と思うに違いない。しかし彼は、溢れる才能があったわけではなく、「成功のきっかけは突然変異を発見したことにある」と語る。彼の語る「突然変異」とは何か。そして、それを見つけることが、成功することとどのように関連しているのか。チュ・オンギュ氏の著書『SUPER NORMAL 凡人が上位1%の「成功者」になる抜け道』をもとに、その謎を解説する。(文/神代裕子、ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)
凡人が目指すべきは「スーパーノーマル」
毎月数十億円の売上を出す企業家にはなれなくても、月100万円以上の副収入が得られるようになる方法がある。
そう言われたら、「教えてほしい!」と思う人も多いだろう。
筆者も同感である。むしろ、数十億円はあまりにも非現実すぎて、今からそんな企業家になれるとはちょっと思えない。
しかし、月100万円程度であれば、「凡人の私にも手が届くのではないか」と夢見てしまう。
事実、そのレベルの成功者たちは、地下鉄の1車両か2車両に1人はいるらしい。
そして、彼らは決して並外れた天才というわけではないという。
チュ・オンギュ氏は、彼らのことを「スーパーノーマル」と呼ぶ。
自分と同じような状況の成功者を探す
チュ・オンギュ氏は、多くのスーパーノーマルたちと出会い、インタビューや観察を重ねるうちにあることに気がついた、と語る。
それは、「ふつうの人が、ある一定のプロセスを踏んだ結果、富と成功をつかんでスーパーノーマルに生まれ変わる」という事実だ。
そして、そのスーパーノーマルになるための法則として、まずは「突然変異」を発見することを提唱する。
彼の言う「突然変異」とは、「自分と同じような状況にある人が、圧倒的な成功を収めたケース」を指す。
そして、その「突然変異」が他の人より優れた成果を出せた要因を1つ見つけ出せばいい、と述べる。
成功のヒントを発見するのは徹底した分析
例えば、「グルメインスタグラム」を副業にしようと決心するとする。
しかし、なかなか「いいね!」はつかず、フォロワーも増えない。気持ちは萎えてくる。
この場合、一体どうすればいいのだろうか。
チュ・オンギュ氏はまずは、「『インスタグラムをやめたい』という気持ちの中からヒントを見つけ出し、『突然変異』を探さなくてはならない」と指摘する。
今すぐにやらなくてはいけないのは、自分と同じような条件、つまり、最近できたばかりのアカウントの中から「急速に成長しているアカウント」を見つけ出して、彼らの戦略を学ぶことだ。(P.92)
そして、チュ・オンギュ氏が提案するのは、「突然変異したアカウントの要素を1つひとつ分析し、なぜ圧倒的な成功を収めることができたかをチェックすること」だ。
なんとなく突然変異のアカウントを眺めるだけでなく、アイコンの写真から、投稿数、フォロワー数、フォロー数、1つひとつの投稿など、「すべての要素」をチェックするのだ。
例えば、突然変異のアカウントの「投稿数」が100件で、初投稿から50日経っていたとする。
そうであれば、「自分も1日2件以上の投稿をアップするペースで、まずは倍の100日間運営してみる」という基本目標を設定できるというわけだ。
成功の鍵は「差別化」にあり
ここで大事になってくるのは、「ただ単に他人の真似をするということではない」という点にある。
他人のアイデアをそのまま盗むのは、法的にも倫理的にも許されない行為である。
大事なのは「自分と似たような条件下で成功した人々を見つけたら、そこから成功のヒントを探し出し、オリジナルとの『差別化』を図ることに焦点を合わせる」ことだとチュ・オンギュ氏は語る。
単に人の真似をするだけであれば、勘が良くて実行力がある人なら簡単にできる。
確かに、今の世の中、何か1つの商品が爆発的に売れると、その後すぐに二番煎じのような商品が大量に現れる。
そうなると、あっという間に市場はレッドオーシャンとなってしまうのだ。
だからこそ、そこで「差別化できるかどうか」が分かれ道になる。
失うものがない立場だからこそ挑戦を
成功のヒントは、突然変異の人々をじっくりと分析することで見えてくる。
そのヒントをもとに、自分なりにどんな工夫ができるか、掘り下げていくことが重要なのだ。
もちろん、今まで自分がチャレンジしたことのない世界に足を踏み入れるのは、ためらいが生じるものである。
「自分なんかがやっていけるだろうか」と不安にもなるだろう。
しかし、チュ・オンギュ氏は、今から何かを始めるということは、「その世界においてはビリである」と指摘する。そのこと自体が強みだというのだ。
自分の真似をしようとする後発のユーチューバーたちを引き離すために、革新を続けなくてはならない。
失敗は許されず、踏み出す一歩一歩が重い。新しいチャレンジをするときは、とてつもないプレッシャーに襲われる。
でも、ビリならこんなストレスを感じることはないし、どんなことにも挑戦できる。失うものがないからだ。(P.133-134)
そして、「失敗するかもしれない」ということよりも、「何もせずに1日が終わることにこそ、恐怖を感じるべきだ」と注意喚起する。
確かに、何にもチャレンジしなければ、何も失わない。失敗したと落ち込むこともない。でも、何も変わらない状態でただただ時間だけが過ぎていくだけだ。
5年後、10年後の自分をつくるのは、「今の自分」の積み重ねだ。
もし、今の自分から脱したいのであれば、まずは突然変異を探すことから始めてみてはいかがだろうか。