しかし、誰かが恐怖に立ち向かうと起きることはそれだけではない。勇気は、パニックや、臆病と同じように、伝染することがわかったのだ。あなたが人生に恐れを抱いている姿を子どもたちが見ていれば、彼らはそれを肌で感じ、真似するようになる。もちろん子どもだけでなく、チームや、あなたが指導する相手や、サービスする相手にも恐れは伝染する。あなたがもっと頻繁に勇気を出すことが、社会全体が美徳を身につける入り口となるのだ。

肉体的勇気や精神的勇気など
4つに分類できる「勇気の定義」

 勇気を定義し、分類するのは難しい。勇気という言葉が具体的に何を意味するかについてさえ、研究者のあいだでも意見がまとまっていない。結局、意見が一致しているのは、人がどんなときに勇気を出すのか、ということくらいだ。人が勇気を出すのは、リスク、恐怖心、行動を起こすに足りる相当な理由が存在するときである。

 それでも、さまざまな種類の勇気について考察してみることは有益だ。

 まず肉体的勇気とは、崇高な目標を達成するために危険な状況に身を置くことを指す。たとえば、車にはねられそうな人を助けに交差点に飛び込む、あるいは生きるために病気と闘うといったたぐいの勇気である。