どうやって人と組織を動かすか。グローバルな大企業でも、街の商店でも、あるいは非営利で社会貢献を行うNPOでも、誰もが頭を悩ませている問題だ。多くのリーダーシップ論、マネジメント論が溢れているが、実際には、本に書かれていることが、そのまま現実に当てはまらないことも多い。現実に応用して行くには、さまざまなセオリーを臨機応変に組み合わせていく必要がある。これまで、多くの組織でプロジェクトを牽引してきた著者が、リーダーシップの本質について解説する。※本稿は、木部智之氏『リーダー1年目のマネジメント大全』(三笠書房)の一部を抜粋・編集したものです。
リーダーシップは方位磁針
マネジメントは時計
「リーダーシップ」と「マネジメント」。よく混同される言葉ですが、皆さんはこの2つの違いがわかりますか?
リーダーは、どちらの意味も正しく理解し、使い分ける必要があります。
リーダーシップとは、「人と組織を動かす」際に必要なスキルであり、「方位磁針」にたとえられることもあります。具体的には、組織のビジョンを示す、メンバーのモチベーションを高める、組織を立ち上げる、変革を推進するなどです。
もう一方のマネジメントは「人と組織を運営する」スキルで、「時計」にたとえられます。具体的には、計画・予算の立案、組織設計や人員配置、進捗(計画と実績)の管理と問題解決などです。
このように、リーダーシップとマネジメントには明確な違いがあるので、状況に応じて使い分ける必要があります。
リーダーシップとマネジメントの使い分けについて、プロジェクトチームの立ち上げを例に、考えてみましょう。
チームを新たに立ち上げるときは、プロジェクトのめざすゴールやチーム方針などのビジョンを示します。集まったメンバーへの動機づけを行うことも大切です。これらがリーダーシップです。
また、このプロジェクトの実行計画を立てたり、メンバーの役割も決めたりしなければいけません。これがマネジメントです。
チームの状況に応じて使い分ける
リーダーシップとマネジメント
プロジェクトの初期段階では、力配分としてはリーダーシップが多めで、マネジメントが少なめになります。
プロジェクトが立ち上がり、安定してくるとリーダーシップよりも予実管理や問題解決のマネジメントに重心が移ります。