「頼みやすい」人ほど、仕事量が増えてしまう

 実際の現場では、これらの要素が複合して、最終的に以下のような事態になっていきます。

【後輩A】人当たりが良いが能力は「平凡」
→×:雑用を受けてしまって自分の仕事ができない
【後輩B】ちょっと気難しいが「有能」
→◎:雑用を回避しているので「キャパに余裕がある」
【後輩C】人当たりが良くて、かつ「有能」
→△:雑用と「難しい仕事」の両方を受けていて仕事量が1番多い

 ここで改めて考えてみてください。先輩であるあなたは、「難易度の高い仕事」を振ろうとしたときには、BさんかCさんのどちらかを選ばなければいけません。さて、どちらを選びますか。

 この時は、きっと「後輩B」に仕事を振ることになるでしょう。

 ここまで読むとお分かりになると思いますが、Cさんのような「優しいけど有能」な人は、このようにしてチャンスを逃してしまうことがあります。

 職場の「本当に優しい人」(後輩Cさんのような人)は先輩からも後輩からも分け隔てなく慕われる一方で、多くの雑務もこなさなければならなくなっています。

 しかし、いかに有能であっても体は一つです。つまり、Cさんタイプの人は最高のパフォーマンスを発揮できる仕事のチャンスを逸失するリスクを負ってしまっているのです。

「優しい人」が抱える重大なリスク

 一方、Bさんのような人であれば、面倒な雑用を回避したまま、「難易度の高い仕事」だけに力を注ぐことができます。

 もし、あなたが同僚から「優しい人」という風に見られている場合、このようなリスクが存在していることをまずはしっかりと認識してください。

 その上で、自分がその会社でどうなりたいのか、今一度改めて考えてみることをお勧めします。

このように、「自分がした努力を、”適切に評価されるため”に使えているか?」を棚卸しすることは非常に重要なのです。

(本記事は『雑用は上司の隣でやりなさい』の著者による特別な書き下ろし原稿です)