芸能人や著名な経営者にも「サウナ好き」を公言する方が増え、また身近なビジネスパーソンで、精力的に仕事をこなすトップエリートと呼ばれる男女がこぞってサウナに通っています。なぜ、仕事ができる人は、サウナにハマるのでしょうか?
サウナを初めて科学的エビデンスに基づいて解説した話題の書「医者が教えるサウナの教科書」(加藤容崇著)より、最新研究に基づいたサウナの脳と体に与える効果と、最高に「ととのう」ための入り方を、本書から抜粋して紹介していきます。
ぼーっとしていても「脳疲労」はたまる
私がサウナをおすすめする最大の理由。それは、サウナが、すべての健康法の中で、最も効率的に、そして瞬時に、脳と体を「ととのえる」=「コンディショニングする」ことができるからです。
□布団に入っても仕事のことが気になって寝付けない
□提出日が近いのに、企画書のアイディアが浮かばない
□脳が重たい感じがして、集中力が持続しない
□忙しすぎて、ちょっとしたことでイライラする
□ぼーっとしているはずなのに、考えごとが止まらない
□食後、眠くなってしまいパフォーマンスが低下する
これらは、ビジネスパーソンであれば、誰もが思いあたることだと思います。
仕事量が多く、精神的なストレスが大きいことに加え、会食や飲み会などの肉体的負担も大きい。そんな、心身ともにクタクタの状態であるにもかかわらず、次から次に難局が襲ってくる。
脳をオフに切り替えようと思っても、「A社にメールを送らなければ」「朝イチでB社に見積もりを出そう」「あ、経費を出し忘れてた」「このCM、C社の企画に応用できるかもしれない」……など、ぼーっとしている時ほど、むしろ様々な考えが浮かんでしまい、脳の疲れが取れないと感じているかもしれません。
多忙なビジネスパーソンは、脳を“オフる”のが苦手
後ほど詳しく説明しますが、実は、ぼーっとしていても色々考えてしまうことが、脳の7~8割のエネルギーを消費していると言われています。スマホにたとえると、裏で余計なアプリが動いていて、電池がどんどん減っていくようなイメージです。
つまり、ぼーっとしている時、すなわち休息すべき時にも脳が働いてしまうことが脳疲労の原因であり、仕事のパフォーマンスを低下させる元凶なのです。
したがって、時には、強制的に脳を“オフる”ことが大事。そして、容量がいっぱいになった脳を空っぽにして、動作環境をととのえるのです。そうやって、心身を上手にコンディショニングできる人こそが、「ハイパフォーマー」になり得るのだと思います。
仕事ができる人には仕事が集まってくるため、より一層忙しくなるという側面があります。やることはどんどん増え、大きなプレッシャーを抱えながらも、確実に結果を出し続けなければならない。そのために必要なのは、短時間で効率よく心身をコンディショニングし、パフォーマンスを最大限発揮できる状態に「ととのえる」ことです。
しかし、それは、言うほど簡単ではありません。
ここ数年、脳や体のコンディショニング方法として、「瞑想」や「マインドフルネス」が注目されることが増えました。これらは、アップル創業者のスティーブ・ジョブズ、セールスフォースCEOのマーク・べニオフといった名だたる経営者や、グーグル、インテル、米国防総省、米農務省なども研修として取り入れているポピュラーな方法です。特にジョブズは、大学生の頃から禅と接し、日本の寺で修行したいと言っていたほど熱心に学んでいたそうです。
しかし、逆に言うと、あのジョブズですら、何年も修行をしないと習得できないほど奥が深いものだということです。実際、瞑想やマインドフルネスはトレーニングが必須であり、習熟度によっても効果が異なることが報告されています。しかも、セミナーなどは1回の価格も高額です。
読者の中にも、マインドフルネスや瞑想を試したけれども、やり方がよくわからない、効果がいまいち感じられない……と思っている人も多いかもしれません。
サウナなら、誰でも自動的に心身をととのえられる
その点、サウナはどうでしょう。
サウナは、ただ入るだけでOK。だから、努力不要。才能不要。価格も庶民的。
何も意識せずに、ただサウナを楽しむだけで、自動的に心身をコンディショニングできるのです。サウナが心身の状態を変化させるエビデンスはたくさんあります。
これなら、誰にでもできるのではないでしょうか。
なぜ、サウナに入るだけで自動的に心身が「ととのう」のか。そしてその結果、ビジネスのパフォーマンスを上げることにつながるのか。その理由を本書で、解き明かしていきたいと思います。
*本記事は、「医者が教えるサウナの教科書」から、抜粋・編集したものです。