注目される9月決定会合での判断要因
内田副総裁発言に「2つの問題」
米FRB(連邦準備制度理事会)が9月17、18日のFOMC(連邦公開市場委員会)で利下げ開始を決めることが確実視されるなかで、翌日からの日本銀行の金融政策決定会合でどのような議論が行われ、どのような指標や動きを重視して政策判断がされるのかが注目される。
7月31日の金融政策決定会合では、政策金利の引き上げを決め、会議後の記者会見で、植田和男総裁は「物価と賃金の状況が想定通りになれば、さらに追加の利上げを行う」と述べた。参照する経済変数は「物価と賃金」だ。ここには株価は含まれていない。
ところが、利上げの翌週の8月5日には日経平均株価が大暴落、翌日には一転、急騰する過去最大の乱高下となった。
株式市場がパニックに陥る中で、内田真一日銀副総裁は7日の講演で「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と強調した。
これを受けて、同日の株価は一時、前日比1100円超の上昇(終値は前日比414円上昇)となった。内田発言は株価に大きな影響を与えたのだ。
だが、内田発言には問題が二つある。一つは7月31日の植田総裁の説明を否定していることであり、もう一つは株価が日銀の政策に影響を与えるとしていることだ。
株価が政策決定の新しい判断要素が入ってきたということなのか? だがそもそも株価は、日銀が政策決定で考慮すべき変数なのか?