円安ドル高、24年夏が転換点
今後の円高リスクどこまで
数年にわたって大幅に進んだ円安ドル高の流れは、2024年夏に転換点を迎えたようだ。
米国の経済指標の悪化や日本銀行の追加利上げ、円キャリートレードの巻き戻しなどで、7月上旬に一時1ドル=161円台だったドル円相場は、直近13日では1ドル140~141円台まで円高に戻した。
21年1月では同103~104円だったから、24年7月までの3年半で最大60円近く円安が進んでいたことになる。この歴史的な円安は日本経済にプラスとマイナスの両面で影響を及ぼしたが、ネットで見れば、輸入コスト上昇などによるマイナス効果が大きく、いわゆる「悪い円安」との見方が多い。
だとすれば、足元の円高は「良い円高」で、今後の日本経済の押し上げ要因になるだろうか。
筆者は、円高の影響をネットではマイナスとみている。ここ数年は、輸入コスト増を価格転嫁する動きが非線形的に加速したことで実質賃金が継続的に下落するなど「悪い円安」の側面が大きかったが、こうした状況は落ち着きつつある。
24年度後半に10円の円高ドル安が進んでも実質国内総生産(GDP)成長率に与える影響は▲0.1%pt程度とみられ、景気の回復基調は維持されるだろう。だが問題は、円高がそれでとどまるかどうかだ。