ドル安・円高転換でも「1ドル=140円」が上値?円“供給超過”の円安構造は変わらないPhoto:JIJI

日銀利上げで5日に一時141円台
乱高下の円ドル相場の行方

 ドル円相場は、7月3日に1ドル=161円95銭水準をつけた後、7月11日発表の6月米CPI(消費者物価指数)が市場予想を下回ったことを機にドル安・円高方向へ反転し、31日の日本銀行の利上げ決定を受けて、8月5日には141円70銭まで円高が急伸した。

 利上げと円高急伸で日経平均株価は、5日、6日は、それぞれ過去最大の暴落と急騰となり、その後も不安定な動きが続いている。

 7日は内田眞一日銀副総裁が講演先で、「金融市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」と発言。これを受けてドル円相場は147円台まで円安にもどし、日経平均株価も終値は前日より414円上昇したものの、いずれも先行きはみえない状況だ。

 今後、ドル円相場はどう動くのか。

 9月にFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ開始が予想されるなど、日米金利差の縮小が進むことから、従来の一本調子のドル高・円安は収束の方向に動き、「ドル安円高」への転換が進むだろう。

 だが円の需給を見ると、経常収支と金融収支の構造変化で円は供給過剰になりつつあり、円安基調が大きく変わるのには時間がかかる。当面、円は140円を上値に、ドル円相場は1ドル140~150円のレンジ内での動きになると予想する。