●10年前の「号泣議員」と比較される
連日に及ぶ会見の無茶回答っぷりや、11日の会見で涙を見せたことが、2014年に「号泣会見」で話題になった元兵庫県議と比較される。「パワハラで亡くなった人がいる疑惑がないだけ、元県議の方が良かったのでは……」という投稿もあった。
「メンタルが強い」は
果たして良いことなのか
ネット上でのまとめられ方が秀逸で、思わず笑ってしまいそうになるものもあるが、亡くなった人がいること、ハラスメントで苦しんだ人がいるであろうことを考えると、事態は深刻である。
また、かつてないほどの批判を浴びている知事であることは間違いないにもかかわらず、本人に辞職する気がないというのもすさまじい。全会派から辞職を求められてもなお、「県民から激励の声があるから」と言っているのである。再三の辞職要求に応じない知事に対し、県議会の各会派は斎藤氏の不信任決議案を、9月議会開会日に提出・採決することで合意した。
確かにXでは「#斎藤知事辞職せよ」のハッシュタグの一方で「#斎藤知事頑張れ」のタグもある。とはいえ、パワハラやおねだりだけでなく、阪神・オリックスの優勝パレードに関連するキックバック疑惑や、片山副知事に政治資金パーティー券を大量購入させた疑惑、その副知事の「告発者探し」の恫喝まがいの音声など、そのへんの職員なら一つでもクビが飛びそうな「疑惑」が、次から次へと出てくる状態だ。
本人が辞職するのが先か、追及する側が疲弊するのが先か……で、まさか後者にはならないでほしいと多くの人が願ってはいるものの、知事のメンタルは鋼でできているかのように強い。
数々の疑惑が本当であったとして、その振る舞いから感じるのは「子どもっぽい」「わがまま」「短気」という印象である。そしてその上に「メンタルが強い」が乗っかる。
「メンタルが強い」というのは通常、その人の長所として挙げられる要素であり、特にビジネスにおいては重視されてきた印象が強い。一時期「心が折れる」という言葉が流行ったが、あれは折れにくい心の持ち主がサバイブする社会であることの裏返しであったかもしれない。
しかし、リーダーがあまりにもメンタルが強いと、それは部下にとっての悪夢なのではないか。