「氷河期世代の勝ち組」?
斎藤知事を生んだ時代背景

 斎藤知事が1977年生まれ(46歳)の氷河期世代であることから、「氷河期世代の勝ち組」の特徴だともSNS上で評されている。

 どういうことかというと、就職難に苦しみ、入社してからも長時間労働やパワハラでこき使われ、今ほどそれを公に訴える術もなく、メンタルを病んで離職していく人も多かったのが氷河期世代(という評価が一部にある)だからだ。

 その世代において生き残った数少ない勝ち組は、「自分は逆境の中でも頑張って成功したのだから、くすぶっている人は努力不足だ」と考えてしまう傾向があり、なおかつ自分が長時間労働やハラスメントに耐えてきてしまったため、その悪しき慣習を次世代に強いてしまいがちだという指摘だ。

 確かに、氷河期世代が就職活動期であった20〜30年前は今よりもずっと精神論が幅を利かせ、圧迫面接をものともせず耐え抜ける者(もしくはコネのある者)だけが就職を勝ち抜ける時代だった。と言うと、言い過ぎに感じるかもしれないが、就活生や新入社員が「労働者の権利」というようなものを口にできる時代ではなかったように思う。

 そう考えると、「部下の権利」や「職員の人権」を疎かにしているように見える斎藤知事への分析として、カチリと嵌まるように感じてしまう。

 知事の心の中はわからないが、同じ氷河期世代としては、もう時代が変わったことに気づいて、周囲を苦しめず、奢ることなくいてほしい。トップにいる者は虚勢を張るべきではないし、自らが引き起こした事態を冷静に捉え直してほしいと思うのだ。

 もう、自分だけが生き残ろうとするような闘いはやめよ――。そう言ってくれる人は知事の近くにいるのだろうか。