兵庫県の斎藤元彦知事に注目が集まっている。集まっていると言っても、いい意味での注目ではなく、悪い意味、疑惑の真偽やそれへの対処についての注目である。今回のパワハラ疑惑はなぜ起きたのだろうか。(政策コンサルタント 室伏謙一)
斎藤知事に係る
7つの疑惑
兵庫県の斎藤元彦知事に注目が集まっている。集まっていると言っても、いい意味での注目ではなく、悪い意味、疑惑の真偽やそれへの対処についての注目である。
斎藤知事と言えば、2002年に総務省に入省、旧自治省系の部局を中心に経験を積み、2018年には大阪府に出向し財政課長に就任、3年後の2021年3月末に同省を退職(一応大阪府から総務省に戻って退職という形式が取られる)して兵庫県知事選への立候補を表明。自民党兵庫県連の事実上の分裂選挙となったが、日本維新の会の推薦も受けて同年7月18日に初当選を果たした、若手かつ任期1期目の、言ってみれば新人知事である。
では、その斎藤知事に係る疑惑とは何か?
3月12日付で、西播磨県民局長が報道各社や一部の県議に送付された「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」と題する告発文書に記載されたもので、(1)五百旗頭真先生ご逝去に至る経緯、(2)知事選挙に際しての違法行為(幹部による事前運動)、(3)選挙投票依頼行脚、(4)贈答品の山(知事のおねだり体質)、(5)政治資金パーティー関係、(6)優勝パレードの陰で(プロ野球阪神・オリックス優勝パレード関係)、(7)パワーハラスメントの7項目にわたる(告発文書の表記のまま。カッコ内は筆者追記)。
現状で特に注目集まっているのは、パワーハラスメントと企業からの贈答品関係、いわゆる「おねだり」関係である。
パワーハラスメント(以下、「パワハラ」と言う)関係では、斎藤知事は気に入らないことがあるとすぐに職員を怒鳴りつけるとされ、会場建物入り口より20メートル手前で公用車を降ろされて歩かされただけで職員らを怒鳴り散らす、レクで気に入らないことがあると机を叩いて激怒、チャットによる日時・時間無視の幹部職員への指示の乱発といったことが記載されている。
当初から斎藤知事はこれらを否定していた。3月27日には、文書の内容の核心的部分事実ではなく、文書は誹謗中傷に当たるとし、この告発文書を作成、配布した局長を解任。さらに、局長は3月末付で退職予定であったが、これを認めず総務部付とした(その後5月に定職3カ月の懲戒処分となった)。そして、斎藤知事は会見において「嘘八百」とまでこき下ろした。
だが、県議会や県民からの不信感は広がり、6月13日には本疑惑を調査・審議するための100条委員会の県議会への設置が決定された。兵庫県においては、実に51年ぶりのことであると言う。